宇宙

2024.01.26 15:00

膨大なはずだが観測されない、休眠状態の恒星質量ブラックホール探索の最前線

2023年の初めに、CFAと独マックス・プランク天文学研究所が、へびつかい座にある休眠中の恒星質量ブラックホールを発見したと発表した。CFAの研究チームは、ザークのチームとは異なる技法を採用し、欧州宇宙機関(ESA)の天文観測衛星ガイア(Gaia)のデータを用いることで、この発見を成し遂げた。「BH1」と命名されたこのブラックホールは、太陽地球間とほぼ同じ距離で互いを
公転している恒星と連星系を構成しているという。

さらにこれに続いて、ガイアのデータから2番目のブラックホール連星系「BH2」が、ケンタウルス座で見つかった。どちらのブラックホールも、推定質量は太陽の10倍弱で、休眠状態にあるとされている。

だが、ザークは完全に納得しているわけではない。

ザークは、BH1とBH2がどちらも休眠状態の恒星質量ブラックホールの非常に有望な候補だと見なしている。だが、過去にも同様の発見がいくつかあったが、後に否定されているとも指摘。今後、BH1とBH2の観測データがさらに増えることを考えるとわくわくすると、ザークは話す。

理論天文学者による恒星進化モデルの作成には確かな数字が必要

ザークによると、太陽系外惑星系では、まず恒星進化モデルを用いて主星の性質を導き出し、それによって惑星の性質を明らかにする。主星のパラメーターを間違えると、他のパラメーターもすべて間違うことになるという。

複数の恒星進化モデルに基づくと、銀河系全体には数万もの休眠ブラックホールがあるはずと考えられるが、高い信頼性を持って検出されたものはまだないと、ザークは指摘する。現在知られている恒星質量ブラックホールはすべて、活発な降着が起きている恒星系にあるため、休眠ブラックホールの探索はこれからも続けられると、ザークは話している。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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