アジア

2024.01.25 12:30

強硬姿勢強める北朝鮮 「開戦決断」か新たな瀬戸際外交か、真の狙いは?

Alexander Khitrov / Shutterstock.com

北朝鮮に長年かかわってきた米国の専門家2人は、北朝鮮の最近の動きはいつものような「ポーズ」ではないとの見解を示している。元国務省高官のロバート・カーリンと核科学者のジークフリード・ヘックラーは米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」への11日の寄稿で、金正恩は「戦争に踏み切る戦略的決断した」と断言した。
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一方で、脅しはあくまで脅しにすぎないと考える専門家もいる。北朝鮮が脅すのは、米国に自国をもっと真剣に扱うようにさせ、ドナルド・トランプ前政権への関与で実現できなかった制裁緩和につなげる思惑があるとの見立てだ。

韓国の梨花女子大学の北朝鮮専門家、朴元坤(パク・ウォンゴン)教授はニューヨーク・タイムズ紙に、北朝鮮は戦争に勝てないことはわかっており、もし戦争を始めるとすれば「自滅的」な行動だと語っている。北朝鮮は「敵に(北朝鮮が戦争で勝利)できると信じさせたがっている。そう思わせれば、関与、さらには制裁緩和などの譲歩を引き出せる可能性があるからだ」とみる。

世界情勢の混迷に乗じる

地球上で最も孤立した国の1つである北朝鮮は長年、核兵器の開発をめぐり米国や国連から科された広範な経済・金融制裁を緩和させようとしてきた。こここ数年は、米国の共和党と民主党、中国と台湾、ロシアとウクライナの関係といった世界情勢の不安定化要因に乗じて軍事活動を活発化させている。

北朝鮮は過去、敵対する国で政治的な不確実性が高まる時期に強硬な動きを強めており、韓国で総選挙、米国で大統領選がある今年もそうした時期に当たる。米韓両国の大統領選が重なった2012年には人工衛星の打ち上げと称して長距離弾道ミサイルを発射し、2016年の米大統領選前には5回目の核実験に踏み切った。
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2019年にトランプと金正恩の交渉が物別れに終わって以来、北朝鮮は米国からの再関与の試みを突っぱねている。

北朝鮮は2022年に、過去最多となる90回超のミサイル発射実験を行った。1日で23回実施したこともあった。北朝鮮のミサイル発射実験と核実験は金正恩体制になってから大幅に増えており、1984年以降に実施された270回あまりのうち、75%超は金正恩が政権を握った2011年以降に行われている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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