『パルワールド』に生成AI使用疑惑 今のところ証拠はなし

とはいえ、『パルワールド』が何らかのかたちでAIを使用していた可能性がまったくないというわけではない。筆者はこの点について、ポケットペアに確認中だ。ただ、指摘しておくべき点がいくつかある。

・ポケットペアの2024年1月のブログ記事によると、同社は100社近くに応募したものの不採用になった1人のアーティストを雇い、その社員が「今ではパルワールドのキャラクターの大部分を描いている」のだという。

・『パルワールド』が販売されているPCゲームプラットフォームのSteam(スチーム)は今年、開発者が新作ゲームを提出する際に記入するコンテンツアンケートに、AI使用の有無に関する項目を追加すると発表。「アンケートにはAIに関する開示セクションが追加され、開発者はゲームの開発および実行においてどのようにAIが使用されているかの説明が要求されるようになります」としている。開示された情報の多くはSteamストアページにも掲載され「ゲームでAIがどのように使用されているかを顧客が理解できるように」するという。『パルワールド』のストアページには、それらしき記述はない。

ポケットペアの社長が以前から生成AIに対する関心や支持を表明していたことは間違いなく、同社が生成AI技術を使った実験的なゲームを少なくとも1本作っていることも事実だ。会社トップがAIに興味を持っている企業のゲームはサポートしたくないという人も多いかもしれないが、最近ではマイクロソフトやスクウェア・エニックスなどの幹部も同じ姿勢を示している。

『パルワールド』でAIが使用されている証拠が今後出てくる可能性は確かにあり、もしそうであればSteamの情報開示ポリシーに違反していることになる。だが今のところ確かな証拠はなく、疑惑はすべて推測に過ぎない。また『パルワールド』開発元はモンスターデザインについて、特定のアーティストが手掛けたものだと説明している。

一方、モンスターデザインがポケモンの真似であるという主張はまったく別次元の話だ。ゲームフリークのデザインを直接コピーしたのであれば、さまざまな意味でAI使用疑惑とは正反対の主張になる(繰り返しになるが、モンスターデザインを完全に盗用したという決定的な証拠は今のところない)。

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forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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