真のブーム到来に備えて、CESで注目された日本企業のメタバースに関わる取り組みも振り返りながらメタバースの最新動向を伝えたい。
心地よく没入するために欠かせない「高画質」と「軽さ」
いまメタバースの中心で一般の関心を最も強く集めているのは、やはり没入型コンテンツを視聴するためのヘッドセットだ。特にアップルが昨年夏に開催した世界開発者会議WWDC23で空間コンピュータ「Apple Vision Pro」を発表して以来、メタバースの周りが再び活況を呈している。立役者であるApple Vision Proが世界に先駆けて北米で、2月2日から発売されることが決まった。不意に大きなニュースが飛び込んできたおかげで、今年のCESで出展社が見せたメタバース関連のハードウェアやコンテンツ制作のためのソリューションがいっそう関心を呼んだ。
例えばパナソニックのグループ会社であるShiftallの新しいVRヘッドセット「MeganeX superlight」がCESの会場で特に多くの人の目を引いていた。
本製品は同社にとっては早くも第2世代となるVRヘッドセットとなる。約5.2KのHDR高画質を特徴とする有機ELディスプレイ(OLED)で見られる映像は没入感がとても高い。立体視の視野角を広げた樹脂製レンズを採用したことで、初代モデルよりも映像が観やすくなり、本体は大幅に軽くなり重量は200gに抑えられている。予価は公表していないが「初代のコンシューマ向けMeganeXの価格(約25万円)よりも必ず下げる」と、代表取締役CEOの岩佐琢磨氏は意気込む。
Apple Vision Proには、本体に搭載するカメラでデバイスを装着したユーザーがいる環境の様子をリアルタイムに取り込んで映像に表示するビデオシースルー機能がある。現実世界の映像を取り組み、その上にコンピュータグラフィックスのオブジェクトなどを重ねて表示しながら、リアルとバーチャルを融合した没入空間を作り出す。