生成AIを搭載したXRヘッドセット
シャープはXR/VRヘッドセットのコンセプトモデルをCESに出展した。昨秋には国内で開催されたシャープの技術展示会に同じ試作機を展示しているが、CESでは来場者に実機を装着させて映像も見せた。AQUOSシリーズのテレビを手がけるシャープの実力はこんなものではないと思うが、今後の伸びしろを感じさせる素性の良さも感じさせた。シャープの試作機についてはその画質もさることながら、生成AIを積極的に組み込む方向性が示されたことが興味深い。残念ながらCESのブースに展示した試作機はまだコンセプト段階のものだったため、生成AIを使って「会議の話題の要点をまとめる」「頭の中のイメージをCGで具現化する」「衣服のコーディネート提案をおすすめする」など、カッティングエッジな提案を実際に試すことはできなかった。次の展示機会には何か1つでもAI機能を見せてほしい。
その日は以外に早く訪れるかもしれない。なぜなら、シャープにはユーザーの好みや行動パターンを学習して、自然な音声チャットを実現する「エモパー」という独自の対話エージェントをスマホなどの家電に組み込み、提供してきた実績があるからだ。モバイル型ロボット電話「RoBoHoN(ロボホン)」という、時代の最先端を駆け抜けたプロダクトもシャープによるものだ。そのスマホの開発チームのエキスパートが今、CESにも出展したXRヘッドセットの開発チームに移って活躍しているという。生成AIエージェントを載せたメガネ型ウェアラブルの誕生が楽しみだ。
ヘッドセットは没入型コンテンツのクリエイティブツールでもある
ソニーもCESでXRヘッドセットを発表した。型番やペットネームは決められていなかったが、2024年内に商品としての発売を予定する「没入型空間コンテンツ制作システム」として紹介された。一部の記者に公開された実機を筆者も体験した。各片眼にはソニーが開発した4K OLEDマイクロディスプレイを搭載する。両眼で8Kの高精細な画質はApple Vision Proのそれに匹敵する。搭載するカメラでビデオシースルー機能を実現するところもアップルの製品によく似ている。