経済

2024.01.15 14:30

【ダボス現地リポート(1)】「信頼の再構築」でパーマクライシスを回避できるのか

山本 智之
──今回のダボス会議には、日本からもパートナー企業のトップや若手起業家などが参加します。グローバルな議論の場で存在感を高める秘訣はありますか。
 
日本では当たり前だと思ってしまいがちなことも、あえて口に出して説明することが大切だ。
 
日本社会は同質性が高く、言わなくても分かり合えるシーンが多々ある。だが、バックグラウンドが異なるグローバルのリーダーたちが集う場では、いちから説明しなければメッセージが伝わりにくい。自分には当たり前のことのように思えても、それが相手にとって当たり前とは限らない。
 
年次総会では経営者やリーダーが単独で行動する機会が多い。「我が社」「我が国」といった鎧を脱いで、ひとりの経営者、ひとりの人間として世界のリーダーとダイレクトに議論するなかから人間関係が醸成され、課題認識の共有も可能になる。正しいと思うことを積極的に発言していけば自ずとプレゼンスは上がり、新たなコラボレーションやトラストも生まれる。
 
──23年11月に日本代表代行に着任されました。新たなポジションで取り組みたいことや注力したいことは。
 
日本はグローバルの社会課題への解を持つ国だ。しかし、日本の当たり前が解になり得ることに気づいていない可能性がある。
 
気づきを引き出すために必要なのは「問いかけ」であり、これは世界経済フォーラムの役割のひとつだ。年間を通じてアジェンダを設定し、パートナー企業を始め、すべてのステークホルダーに問いを投げかけていく。各々が導き出した解は年次総会に持ち寄ってもらい、グローバルリーダーたちの答えと合致するかどうかを検証する。
 
気候変動やエネルギー転換、インクルーシブな社会のあり方など日本にも多くの課題がある。これらの課題を解くことが世界の役に立つ可能性は大きい。グローバルなコンテクストを理解している世界経済フォーラムだからこそ、日本のソリューションがユニバーサルな解になり得ると気づくことができる。そのためにも我々は常に問いを見出し、問いかけ続けなくてはいけない。

文=瀬戸久美子 写真=世界経済フォーラム

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