ディマーグAIの電動パワートレインとバッテリーシステムは、芝刈り機やその他のオフロード車に最適化されている。テスラに搭載されているような従来のリチウムイオンバッテリーは、ニッケルやマンガン、コバルトから作られたカソード(正極)材を使用しており、エネルギー密度が高く、急加速に適しているが、状況によってはオーバーヒートし、バッテリーパックが燃えてしまうこともある。それに比べ、ディマーグAIが使用しているようなリン酸鉄リチウム(LFP)セルは、高出力で1kgあたりのエネルギー密度が中程度であるため、充電による劣化も早くなく、熱暴走のリスクも少ないという。
同社の芝刈り機は、1個あたり10キロワットの電力を供給する小型バッテリーモジュールが最低2個必要で、最大6個まで搭載できる。電源が切れたら、急速充電システムで充電したばかりのモジュールとすばやく交換できるように設計されており、連続運転も可能だ。
初期のテスラを支えた起業家
ライトはマーティン・エバーハルトやマーク・ターペニングとともに、2004年にテスラのオリジナルコンセプトに取り組み、マスクに資金を提供するよう説得したという。テスラは2010年に上場したが、ライトはそのずっと前の2005年に退社したため、テスラの株式を保有していない。その後、彼はライトスピード社を立ち上げて電動レーシングカーの「ライトスピードX1」や、大型商用車用の電動パワートレインを開発した。一方、2018年にディマーグAIを共同創業したパドマナバンCEOによると、同社は同年に約200万ドルを調達したが、追加の外部資金を求めていないという。同社は他の企業のために専門的なエンジニアリングや設計プロジェクトを行うことで収益を上げているが、彼はクライアントの特定を避けた。同社の最終的な目標は、芝刈り機やバッテリー、電動パワートレイン、充電器システムのようにライセンス供与が可能なIP価値のある技術を開発することという。
ライトは当初アドバイザーだったが、昨年、テスラでの肩書きと同じエンジニアリング担当副社長としてフルタイムで同社に関わるようになった。
「当社は、草刈り機だけでなく複数の車両を開発してきたが、一般公開する車両はこれが初めてだ」とパドマナバンはいう。「私たちは、電動化が理に適っているカテゴリーの車両を発見したのです」
ライトは今後、25馬力以下のガソリンエンジンやディーゼルエンジンを使用している作業車両の電動化を手がけていきたいと考えている。「当社は、カワサキの小さなV型2気筒エンジンやクボタの3気筒ディーゼルエンジンを置き換えるバッテリーや充電システムによって、このカテゴリー全体で機能するエコシステムを構築している」と彼は語った。
(forbes.com 原文)