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2024.01.14

テスラ共同創業者が描く「もう1つの電動化すべき車」の未来

(C)Dimaag-AI

テスラの5人の創業メンバーの1人で、イーロン・マスクがCEOに就任するはるか前に同社を去ったイアン・ライトは、テスラとは異なるジャンルの電気自動車(EV)に革命を起こそうとしている。彼は、バッテリー駆動の乗用車やSUVの代わりに、排気ガスをまき散らさない芝刈り機、ATV(全地形対応車)、トラクターといったオフロード作業車の開発に取り組んでいるのだ。

最初のプロダクトは業務用の電動芝刈り機で、カリフォルニア州がガソリンを燃料とする芝刈り機の販売を全面的に禁止する動きを見せている中で登場した。

ライトは現在、カリフォルニア州フリーモントに本社を置く企業Dimaag-AI(ディマーグAI)のエンジニアリング担当副社長として、EVとバッテリー充電技術を設計している。Zephyr(ゼファー)と呼ばれるこの草刈り機は、独自の交換可能なリチウム鉄バッテリーモジュールを搭載している。ライトと同社のサティシュ・パドマナーバンCEOは、フォーブスに対し「当社のプロダクトは、排気ガス汚染をなくすだけでなく、低振動で静かなため、ユーザーは耳あてをする必要がない」と語った。

ディマーグAIは、このマシンを自社で生産するのではなく、大手農業機械メーカーに技術をライセンス供与している。ラスベガスで開催されたCESで同社は、日本の日立と共同開発した掘削機や、同じバッテリーシステムを使用した全地形対応車のプロトタイプとともに、芝刈り機とバッテリー充電システムをお披露目した。

「私たちがこのプロダクトの開発で心がけてきたのは、顧客が夢中になると思えるものを作ることだ。この芝刈り機は静かで、使い心地がよく、厄介な欠点がない」とニュージーランド出身のライトは語る。

このプロダクトは、風変わりでニッチなものに聞こえるが、自動車メーカーやその関連業界を規制する能力で米国政府に匹敵するカリフォルニア州は、2024年1月1日からガソリンを動力源とする造園機械の新規販売を全米で初めて禁止した。業者は従来の機器を使い続けることができるが、いずれはそれらを買い替える必要がある。ガゾリン駆動の芝刈り機の価格は1万ドルから2万ドルで、電動式はそれより高価だが、州は基準を満たした電動芝刈り機に最大1万2500ドル(約180万円)の補助金を提供している。

この分野にはいくつかの競合もいるが、まだ非常に若い市場だ。さらに、芝生や庭仕事用のマシンは、何十年もの間、排気ガス規制に縛られてきた自動車とは異なり、排気ガス関連の装置を持たないため、排気ガスの排出量が圧倒的に多い。カリフォルニア州大気資源局は、2023年に芝刈り機がガゾリン駆動の自動車やオートバイなどの車両に次ぐ大気汚染源となり、1日あたり98トン以上の排気ガスをまき散らしたと試算している。
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編集=上田裕資

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