帝国データバンクによると、2023年までに発生した建設業の倒産傾向について、調査・分析を行っている。
それによると、2023年に発生した建設業者の倒産件数は1671件となり、前年比38.8%増と2000年以降初めての増加率となっている。倒産件数としては、この10年で2014年に次ぐ2番目の多さ。負債総額は1,857億300万円で、前年比52.5%増。増加率はこの10年で最大だ。コロナ禍で政策的に抑制されていた倒産の揺り戻しもあるとみられる。
こうした急増の背景には、資材の高騰と外手不足による建設コストの上昇が挙げられる。施主に対して高騰分を価格転嫁できず、請負がそれを吸収せざるを得ず、収益力が低下している。また、人手不足は工期の延長を引き起こし、元請業者による下請け業者への支払い延期につながり、孫請け以下の資金繰りにも影響を与えている。
倒産した業者を地域別に見ると、「北海道」が前年比210.0%増の62件で、増加率はダントツのトップ。「九州」は過去10年で最多の158件で、逆に20.0%減の20件だったのが「四国」だった。
コロナ禍で業績や財務が悪化し、コロナが明けて急回復したことから資金繰りが追いつかない業者や2024年4月から残業時間の上限規制が適用され、ますます人手不足に拍車がかかる業者によって、今後より倒産する件数が増える可能性もある。
出典:帝国データバンク「建設業倒産動向調査(2023年)」より