2022年2月のロシアのウクライナ侵攻を受け、米国を中心とする西側諸国はロシアに制裁を科し、ロシア産の原油に1バレルあたり60ドルという上限価格を設けた。だが、最新のデータや当局者の発言から、こうした措置はロシアに一時的にダメージを与えたにすぎなかったことがうかがえる。
欧州に輸出していた石油を、ロシアが友好国と呼ぶアジアの国々に回すというロシアの対抗策は極めて功を奏している。この策は、米国とサウジアラビアに次ぐ世界第3位の産油国、そして世界第2位の石油輸出国という地位を維持するのに役立っている。
ロイター通信が引用したように、ロシアのアレクサンドル・ノバク副首相は2023年12月27日に、国営テレビ「ロシア24」とのインタビューで、この戦術は非常にうまくいったと述べた。
「目下の主なパートナーは中国とインドだ。輸出における中国のシェアは約45〜50%に拡大している。また、以前はインドへは基本的に輸出していなかったが、この2年間で40%のシェアになった」とノバクは言及した。
ロシアの原油輸出に占める欧州のシェアは、40~45%だったのがわずか4~5%に低下していると、ノバクは付け加えた。データ集計によると、2022年の第1四半期から第2四半期にかけての西側諸国による制裁発動直後の一時的な低迷を除けば、ロシアの原油生産は減少していない。
ロシアの現在の原油生産量は日量約1060万バレルで、この数字には、主要産油国が石油の生産量を調整する枠組みであるOPECプラスの減産の一環として導入した、日量約50万バレルの削減が含まれている。日量約1060万バレルは、ウクライナ侵攻前の2022年1月の生産量をわずかに上回っている。