新たな制裁は、ロシアがこれまでの制裁を回避し、ウクライナ侵攻の資金を調達するために使っていると米ホワイトハウスが考えている外国の企業を対象にしている。この大統領令は先週、主要7カ国(G7)が指定した半導体マイクロチップや航空部品の製造業者のほか、中国企業から武器や技術を調達している代理店など、150以上の組織と100人以上の個人を対象としている。制裁対象となったロシアと取引のある企業には、トルコ、アラブ首長国連邦、中国、シンガポール、スイス、キルギス、タジキスタン、モルディブの企業が含まれている。
大統領令は、取引先がロシアであることを認識していたか否かにかかわらず、対象企業と取引する銀行を制裁する権限も政府に与える。ジャネット・イエレン米財務長官は、国際的な銀行やその他の金融機関が「故意に、あるいは偶然に制裁逃れを助長することがないよう、あらゆる努力を払う」ことを期待すると述べた。
バイデン政権はまた、ロシア産ダイヤモンドと水産物の輸入も禁止した。いずれも第三国で加工され、さらに西側で加工して販売されている。
米議会は、すでに2年近く防衛戦を続けているウクライナに対する支援に必要な予算を確保する法案を可決できずにいる。下院では共和党が国境警備の強化を求めているため、ウクライナ支援の継続は難航。米政府内にはウクライナに軍事資金を提供するため、欧米の口座に凍結されているロシアの資産を差し押さえるよう提案する声もあるが、今回の大統領令ではそのような措置にまでは至らなかった。
他方で、米紙ニューヨーク・タイムズが21日に報じたところによると、米国は同盟国に対し、過去の制裁で凍結された海外口座のロシア資産を差し押さえることで、ウクライナに3000億ドル(約42兆7000億円)の緊急資金を送る可能性があることを示唆したという。だが、イエレン財務長官は先に、「法的に許されるものではない」として、この考えを否定していた。米国の金融機関には約50億ドル(約7100億円)のロシア資産が凍結されているが、米当局はさらに2950億ドル(約42兆円)の凍結ロシア資産について、欧州、カナダ、日本の外交筋と交渉しているとも伝えられている。
ロシアのセルゲイ・リャプコフ外務次官は22日、ロシアの資産がウクライナに送られた場合、米国との外交関係を断絶する用意があると述べたと、英ロイター通信がロシアのインタファクス通信を引用して伝えた。英紙ガーディアンの報道によると、ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は「ロシアはそれを行う者を断じて見逃さない」として、資産差し押さえの可能性に対して強い警告を発した。
(forbes.com 原文)