欧州

2024.01.02 15:00

ロシア石油輸出、西側諸国の制裁後もほぼ変わらず 2024年の見通しは?

平均すると、2023年の大半で、ロシアが生産した石油の約半分が輸出されたことになる。このペースは中国とインドのおかげで維持できている。S&Pグローバル・コモディティ・インサイトによると、輸出が生産量の半分に届かなかったのは8月だけだった。これはインフラの稼働一時停止によるものだ。

西側諸国の1バレルあたり60ドルという価格上限も、インドと中国のバイヤーの購入価格が60ドルを大幅に上回っていることからして、体を成していないようだ。現在、ブレント原油(イギリスの北海領域で産出される原油)の価格が80ドル弱(2023年12月28日のロンドン取引終了時)であるのに対し、ロシアのウラル原油の最近の平均価格は、ブレント原油より1バレルあたり4~6ドル安い。

実際、インドの貿易業界の情報筋によると、ディスカウント幅は年初の1バレルあたり19ドルという水準から、供給逼迫時に3ドルほどに縮小したことさえあったという。

価格上限のもとで、西側諸国のタンカー運航会社や保険会社は、60ドル以上で取引されるロシア産原油を運ぶ船舶にサービスを提供することを禁じられている。だが、ロシアは主要7カ国(G7)や欧州連合(EU)の企業の保険に加入していない、「影のタンカー船団」を巧みに利用している。

ロシア産原油に対する中国やインドの購買意欲が、短期〜中期的になくなる可能性は低い。インド石油・天然ガス省の当局者らが最近、そうした傾向の一端を示した。

同国議会での証言で、当局者らは同国の需要の40%がロシアからの輸入で賄われることもあると指摘。現地紙インディアン・エクスプレスの報道によると、インドの輸入日量約500万バレルのうち195万バレルがロシア産だ。

インドは、自国のロシア産原油購入により、欧州が意図的に避けている原油を「吸収」することで市場の安定が図られ、またインドの消費者も割安の恩恵を受けると主張している。「外交的には、我々は主権国家であり、インドにとっても世界にとっても良いことをしてきたと言える」とある当局者は語った。

つまり、世界の石油市場の動きが実質的に変化しない限り、2024年のロシアの財源は前年とほぼ同じである可能性が高い。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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