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2023.12.22 10:45

「ユニコーン100社輩出」には、失敗例を含めた可能性のシェアが必要だ

──世界経済フォーラムのユニコーン・コミュニティの説明文には、「ユニコーンが見識を深め、専門性を高め、業界の大企業や政策立案者とつながるためのプラットフォームを提供する」とあります。ユニコーンと大企業や政策決定者をつなぐ場とは、具体的にどのようなものですか。

重要なのは、特定の問題に関連する組織を実際に結びつけることだ。例えば今年の11月中旬に、私たちは米サンフランシスコで「AIガバナンス・サミット」を開催した。そこにはGoogleやMicrosoft、Amazon、Metaといった巨大企業に加えて、OpenAIやAnthropicなど次世代を担う新しいスタートアップ企業や世界トップクラスのAI関連の専門家、政策立案者、NGOなどが参加した。

立場や規模が異なる人や組織が一堂に会し、AIがもたらす新たなチャンスや課題にどう対処するかを話し合う場は、他ではあまり見られない。これは単なる交流の機会ではない。共通の課題を巡って、実際に協力するための交流の場なのだ。

──23年の「ダボス会議」には90以上の新興企業やユニコーンが参加しました。彼らが場に加わることで得られた具体的な成果をどのように捉えていますか。

ひとつは、政策立案者や大企業のビジネスリーダーの間で、新興企業が提供できるソリューションへの認識が高まっていることが挙げられる。新興企業の創業者たちとのリアルな交流を通じて彼らが持つソリューションへの理解が深まり、多くの企業がパートナーシップを締結したり、年次総会以後も特定の課題に取り組むために対話を続けたりした。

ユニコーン・コミュニティに選出された企業の創業者がインフォーマルな形で他のリーダーたちと交流できることも、年次総会がもたらす大きな価値のひとつだ。起業家のなかには、政策立案者やビジネスリーダーに会うことを当初の目的に掲げる人がいる。しかし、年次総会に参加すると彼らの認識が変わる。ダボスに集うことの価値は、金利の上昇や人材獲得競争など企業が直面するさまざまな課題への対処法について、多くの課題を克服してきたリーダーたちと意見交換できることにあると気づくのだ。
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取材・文/瀬戸久美子 写真/世界経済フォーラム

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