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2023.12.25 10:30

デザインが生きる人的資本経営とは ヘラルボニー x アトツギ3人が熱烈トーク

タキビコ・キャンパスのカームダウン・ルームで。三星毛糸社長の岩田真吾、長谷虎紡績社長の長谷享治、ヘラルボニー Co-CEOの松田文登、飛騨産業社長の岡田明子(左から順)

タキビコ・キャンパスのカームダウン・ルームで。三星毛糸社長の岩田真吾、長谷虎紡績社長の長谷享治、ヘラルボニー Co-CEOの松田文登、飛騨産業社長の岡田明子(左から順)

岐阜県羽島市の三星毛糸の本社内にある会員制コワーキングスペース、タキビコ・キャンパスのカームダウン・ルームのお披露目イベントが、12月7日に開催された。カームダウン・ルームとは、発達障害や知的障害、認知症などのある人が精神的にパニックになった際、落ち着くためのスペースだ。日本国内でも空港や公共施設で普及が進んでいるが、中小企業で取り入れる事例は珍しい。
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三星毛糸のカームダウン・ルームは、重度の知的障害のある人が描いたヘラルボニー(岩手県盛岡市)のアートを取り入れ、心落ち着ける空間に。ヘラルボニーがコラボした飛騨産業(岐阜県高山市)の家具ブランドHIDAのソファや、長谷虎紡績(岐阜県羽島市)のアートマットも導入。防音室であり、イベント内容が聞こえるようにスピーカーがあり、障害のある人だけでなく、子連れの人が気兼ねなくイベント参加できるようにキッズルームとしても活用できる。
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ヘラルボニー Co-CEOの松田文登、飛騨産業社長の岡田明子、長谷虎紡績社長の長谷享治、そして三星毛糸社長の岩田真吾が登壇し「オフィスデザインから考える、人的資本経営の未来」を題材に熱いトークを繰り広げた。


職人の学校を無償で運営 人材育成のスタンス

岩田:まずはお三方の会社と、人的資本経営に対する考えについて伺っていこうと思います。

松田:私は重度の知的障害のある兄がおり、双子の弟と経営しています。私たちは「障害」という言葉の印象を「欠落」から「違い」や「個性」というイメージに変換していくことを本気で目指しています。アートを通じて障害のある方との出会いを作り、障害のある方たちの目線や生き方を伝えています。
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今年は「鳥肌が立つ、確定申告がある。」という企業広告(ポスター)を作りました。障害のある方たちの平均賃金は月額約1万5000円(*就労継続支援B型施設の場合)ですが、ヘラルボニーでは主に知的障害のある作家さんとライセンス契約を結び、アートを取り扱っていますが、その中には何百万円という額を稼ぐ作家もいます。障害を持つ方が普通に稼げる社会を作っていく。障害を持つ方が「自分はこのために存在しているんだ」と示せる社会にしたいというスタンスで経営しています。

岩田:私たち経営者はヘラルボニーのこのスタンスに共鳴して、一緒にコラボをしてきました。次に飛騨産業は、カームダウンルームのソファを制作する会社です。

岡田:飛騨産業は大正9年創業の木製家具のメーカーです。

名古屋でやっていたヘラルボニーのポップアップのお店に初めて入った際、「高山で家具を作ってる会社の者なんですけど、何かご一緒できませんか」とすぐにレジの方にお伝えしました(笑)。その結果、カームダウンルームに設置されているソファーのファブリックを使ったソファを作らせていただきました。伊賀敢男留(いが・かおる)さんの「こもれび」というアートです。

岩田:飛騨産業では、お父さまの代からユニークな人材教育に取り組んでいますよね。

岡田:私たちの人的資本経営の最も特徴的な取り組みは、職人の育成です。飛騨産業は1人ではなく、組織で家具を作る会社です。職人の卵を育てるため「飛騨職人学舎」という2年制の学校を2014年に作りました。学費は無償で全寮制です。毎朝のランニングやスマートフォンも禁止など厳しいルールもありますが、技術力だけでなく、人間性を育んでもらっています。10年で45名が卒業して、その半分くらいが今も飛騨産業で働いています。台湾の方が卒業し、帰国した事例もあります。
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文=督あかり

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