WOMEN

2024.01.13

識者に聞く、企業価値を高める「女性活躍のあり方」とこれからのロールモデル

ダイバーシティ領域に知見をもつビジネスパーソンの目には、日本の女性活躍はどう映っているのか。Forbes JAPAN「WOMEN AWARD 2023」で選考委員として審議にあたったアドバイザリーボード5人に聞いた。


「人との違い」を 自分の武器にして

石田裕子|サイバーエージェント 専務執行役員

素晴らしい実績のある成功者でも、その裏には数々の失敗があったことでしょう。「失敗を恐れず前に突き進む女性リーダー」が、数十年前に比べて増えていると感じています。女性が前例のないことに挑戦すると、中傷や反発を受けることも少なくありません。でも、それを乗り越えて成功事例をつくり、後輩につないでいく。そうして誰もが当たり前にリーダーになれる社会が実現するのだと思います。

女性は、男性社会やマジョリティのなかで空気を読んで同調してしまう傾向がありますが、人とは違う意見や価値観は武器になります。あなたの意見で化学反応が起き、企業価値の向上につながるかもしれない。

自分の強みを見つけて、どんどんアウトプットする女性が増えてほしいですね。

いしだ・ゆうこ◎1981年生まれ。慶応義塾大学卒業後、2004年にサイバーエージェントに新卒入社。インターネット広告事業部門の営業局長・営業統括、「Ameba」プロデューサー、子会社2社の代表などを経て、20年に女性初の専務執行役員に就任。人事管轄の本部長を兼任し、女性社員応援プロジェクトを立ち上げるなどD&Iをけん引。

インクルーシブに生きることでキャリアも成功に

奥田浩美|ウィズグループ 代表取締役

働く女性が家庭を後回しにして全力で仕事にまい進していた時代と違って、現代の女性リーダーたちは、夢に向かって努力したり、プライベートで悩んだり、等身大で生きている。誰もがありのままの自分でいられたら、より働きやすく、暮らしやすい社会になっていくはずです。

これからは、自分も相手も大切にできる人が活躍していくのだと思います。喜怒哀楽を含めた「その人らしさ」が受け入れられるようになって初めて、インクルージョンといえるのではないでしょうか。

女性の社会的・経済的地位を高めるには、やはりトップ層の影響は大きいと思います。男女平等を唱える政府に女性の副大臣・政務官ゼロ、与党の女性議員11%という状況を見て、誰が平等な世の中を信じることができるでしょうか。政財界ともに女性活躍が当たり前になることを望んでいます。

おくだ・ひろみ◎1964年生まれ。インド国立ボンベイ大学(現ムンバイ大学)大学院社会福祉課程修了。1991年にIT特化のカンファレンス事業を起業し、2001年ウィズグループ設立。13年たからのやまを創業、地域の社会課題と先端テクノロジーをつなぐ活動を行う。現在、経済産業省のプロジェクトの女性のクリエータ発掘・育成プログラム「GRIT」の統括も務める。
次ページ > 女性権力者=「怖い」から「楽しそう」な存在に

文=川上みなみ

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年1月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事