WOMEN

2024.01.13 14:00

識者に聞く、企業価値を高める「女性活躍のあり方」とこれからのロールモデル

Forbes JAPAN編集部

女性権力者=「怖い」から「楽しそう」な存在に

坂之上洋子|経営ストラテジスト

男女雇用機会均等法が施行されたのが1986年。そのころから一生懸命働いてきた先輩が道を切り拓いてくれたおかげで、女性の働く環境は変化し、今チャンスはとても増えていると思います。だからこそ受け身にならずに自ら挑戦してほしい。失敗しても次の経験に生かせばいいのですから。

一方で、日本ではバリバリ働きたくないと言う女性もまだ多いかと思います。権力を持つ女性たちが「怖いし、大変そう」ように見えているのもその理由の一つかもしれません。

実際、肩書きがつくと大変さは増えます。孤独に感じることもあります。それでも、上にあがって見える景色も面白いものです。活躍する女性たちが「ここは楽しいよ」「怖い顔をしなくても経営はできる」と伝えていく必要があるのだと思います。

さかのうえ・ようこ◎シカゴハーリントン大学卒業後、建築コンセプトデザイナーやEコマースベンチャー企業の副社長を経て、NYで起業。その後、独立し、国際機関、官庁、NPO、企業など幅広い分野での経営戦略を手がけるほか、フランス発エンジニア養成機関「42 Tokyo」の理事長として理系分野の女性活躍にも取り組んでいる。

追いかけるのではなく自ら理想を築く時代

松本洋介|LiB 代表取締役社長

WOMEN AWARD 2023」受賞者のみなさんは、社内での活躍にとどまらず、会社で身につけたノウハウを業界全体に広く還元していこうという志を共通してもっているということが印象的でした。

学んだことを社外へ循環させていくことで社会への影響度が増し、自然と働くのも楽しくなっていく、そんな人がどんどん増えていくといいですね。副業解禁時代にもマッチした考え方だと思います。

ハイブリッドワークなど働き方が多様化するなかで、女性活躍のかたちも多様化しています。ロールモデルを追いかけるのではなく、自分が信じた道に挑戦し、理想の人生を自ら築いていく。すると周りも感化され、私もやってみようという連鎖が生まれ、さらに活躍の場が増える──そんな好循環が生まれるといいなと思っています。

まつもと・ようすけ◎1979年生まれ。明治大学卒業後、2003年リクルート入社。07年トレンダーズCOO就任、取締役として12年東証マザーズ上場。14年LiBを創業。日本初のキャリア女性向け転職支援サービスを立ち上げ、採用支援事業を通じて個人と企業の働き方をアップデートするワークシフト支援を行う。

60代と20代が対等に議論できる社会に

高野 真|Forbes JAPANファウンダー、リンクタイズ代表取締会長CEO

伝統的な企業で前向きに取り組み続けてきた人が、いまの時代に評価されていることが、とてもうれしい。しかしこれからは、男性と同じように頑張るのではなく、自分らしくいながら実績を残していく人が、もっと増えていくといいなと思います。既存のロールモデルに寄せるのではなく、性別やバックグラウンドを自分の「個性」ととらえ、それを生かせる分野を見つけてほしい。

企業やメディアの今後の役割は、女性活躍はもちろん、性別や年齢を超えたダイバーシティに、よりフォーカスしていくことだと思います。D&Iというのは、枠を設ければ実現するわけではない。例えば、60代と20代が対等に議論できるようになる。異なった考え方やカルチャーを受け入れ、お互いを認め合える社会のことです。

そんな環境づくりを、WOMEN AWARDの受賞企業や受賞者には先導していってもらいたいですね。

たかの・まこと◎1961年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了後、大和証券に入社。ゴールドマン・サックス・アセット・マネージメントを経て、ピムコジャパン取締役社長を務める。2014年にForbes JAPAN編集長就任、19年より現職。日本ベンチャーキャピタル協会では専務理事として、業界のDE&Iを強力に推進している。

文=川上みなみ

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年1月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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