新谷:人口が急速に減少し、経済成長さえ落ち込もうとしている日本は、テクノロジーに活路を見出す必要があると考えており、その中でも宇宙産業はまだ日本が覇者となる可能性が残っている数少ない産業の一つです。宇宙ビジネスにおける全ての分野で勝たなくとも、技術力で主要なインフラの根幹を押さえることで「日本の存在抜きに宇宙産業は回らない」というポジションを確立するべきであり、これは広義の安全保障にもつながります。
日本が宇宙開発を止めて技術力が落ち宇宙から得られる情報力を失えば、もちろん外交力も弱まります。その結果、世界の中において国力も下がってしまう。そういった事態を回避する手段の一つとしても、物資や人の輸送に宇宙空間が日常的に使われるようになる前に日本が宇宙輸送におけるアジアのハブとしてのインフラを整えておく必要があると考え、Space Port Japanを設立して活動を始めました(続きは、Forbes JAPAN2月号で)。
アイスペース◎2010年創業の宇宙開発企業。月着陸船と月面探査車を開発し、ペイロード・サービス、データ・サービスなどを展開。23年4月、「ミッション1ランダー」の月面着陸に挑戦。24年には、同型機「RESILIENCE」で再挑戦を予定している。本誌の「日本の起業家ランキング 2023」で第6位に。
ソラフネ◎2020年創業の衛星データ解析コンテストプラットフォーム。人工衛星が宇宙で取得する衛星データの解析技術を開発・提供している。21年8月にはマイクロソフトのスタートアップ支援プログラムに採択。同社や画像生成AI開発企業Stability AIなどとコンテストを共催している。
スペースポートジャパン◎日本に複数のスペースポート(宇宙港)を開港し、宇宙輸送におけるアジアのハブとなることを目指す「一般社団法人 SpacePort Japan」。①ビジネス機会の創出、②国内外の関連企業および団体との情報交換および連携、③情報発信、勉強会やイベントの開催なども計画している。
鈴木喜生◎著述家・編集者。『宇宙望遠鏡と驚異の大宇宙』『夢の仕事場 宇宙飛行士』(ともに朝日新聞出版)、『宇宙の歩き方太陽系トラベルブック』(G.B.)、『宇宙プロジェクト開発史アーカイブ』(二見書房)など著書多数。