欧州

2023.12.11 09:30

バイデンはなぜウクライナの「血みどろの膠着」を放置しているのか

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領(Oleksandr Osipov / Shutterstock.com)

最後に、こういうこともある。米国や欧州は、ロシアがウクライナの泥まみれの戦場で徐々に、だが確実に弱体化することで利益を得ている。ロシアだけでなく、その同盟国であるイランや北朝鮮も、ウクライナに資源を費やすことで疲弊している。プーチンに理解を示すすべての全体主義国家も同じ運命をたどるだろう。ウクライナでの戦争による消耗が何年も続けば、悪の帝国は世界で力を失っていく。
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その間に西側諸国は、自国の利益へのダメージを最小限に抑えられるような結果に向けて計画を練ることができる。その結果には、ロシアの影響圏からの中央アジアの解放、イラクやシリア、レバノンに対するイランの影響力の縮小、ロシア連邦の緩やかな解体、シベリア、タタールスタン、ヤクーチア(サハ)などの独立の可能性なども含まれるかもしれない。

もしプーチンが一気に完全に打倒されれば、大きな災害、大量の難民、ウランの拡散、はては核兵器の使用のような自暴自棄な反応を引き起こすおそれもある。一方、冷戦のような漸進主義的アプローチをとれば、西側諸国は時間はかかるが主導権を握れるだろう。ソ連はつまるところ、アフガンでの戦争によって時間をかけて破壊されたのだ。

漸進主義はよく知られたアプローチではあるが、こちらもそれなりに高いリスクがある。なぜなら、たとえばイランはガザでやったようなことをするからだ。欧州ではヘルト・ウィルダースのような人物が権力を握ろうとしている。中国はいつ思い切った行動を起こし、バランスを変えようとしてもおかしくない。
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ウクライナはその間、終わりの見えない地獄、終わりのない苦悩を、何カ月、何年と体験することになるだろう。神よ、ウクライナを助けたまえ。そして、ウクライナを見殺しにしている西側にご加護を。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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