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2023.11.15

セールスフォースのAI部門トップが語る「人工知能のポテンシャル」

Getty Images

約1年前にChatGPTが世界の注目を集め始めるまで、人工知能(AI)について深く考える人は今に比べてはるかに少なかった。しかし、クララ・シー(Clara Shih)は違った。彼女は、スタンフォード大学の学部生だったときにAIの授業を受け、その後ソーシャルメディアベースのソフトウェアプラットフォームであるHearsay Systemsを創業した。
 
現在41歳のシーは、セールスフォースのAI部門である「セールスフォースAI」のCEOを務めている。彼女は、SlackやTableau(タブロー)などにAIを統合し、セールスフォースのソフトウェアを利用する15万社の担当者の日常業務を大きく変革している。
 
時価総額が310億ドル(約4兆7000億円)の巨大テック企業であるセールスフォースは、ホワイトカラーの仕事がAIによって変化する中、顧客からの質問に答えたり、マーケティングコンテンツを考案するといったナレッジワークの中でも最も一般的な業務の内容を変革したいと考えている。
 
このような取り組みを推進するリーダーには、技術的な専門知識とマネージメント能力の両方を備えている必要があると、組織心理学の専門家でスタンフォード大学ビジネススクールのロバート・サットン教授は指摘する。サットンは、20年以上前にセールスフォースを創業したマーク・ベニオフCEOの下で活躍するシーについて「彼女は、オーナー社長が主導する企業で物事を成し遂げる方法を理解している」と評している。
 
セールスフォースには、これまでAIの責任者が不在だったが、シーのポジションを新設したことは、同社が生成AIを重要視していることを裏づけている。生成AIブームによって新機能やツールの開発競争が激しさを増す中、セールスフォースのような大手テック企業は他社の一歩先を行く必要がある。
 
シーは2009年にHearsayを設立して経営に従事した後、2020年に古巣のセールスフォースに復帰した。現在、セールスフォースAIの指揮を執る彼女は、会議を設定したり、企業が保有するデータから営業メールを作成することができる「Sales GPT」や、顧客セグメントの調査ができる「Marketing GPT」のような、定型作業をより簡単でシンプルにする新機能を開発している。
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編集=上田裕資

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