経営・戦略

2023.09.04 08:00

年末商戦予測、AI技術がeコマースで28兆円分の売上を生み出す

Getty Images

Getty Images

Salesforceは8月23日、年末商戦トレンド予測レポートを発表した。オンライン売上が鈍化していることから、ネット販売を行う小売店は、2023年11月と12月の年末商戦に向けて、割引価格を提示したり、顧客が喜ぶ返品ポリシーを採用したり、人工知能(AI)を使った予測ツールや生成AIを活用したりする必要があるようだ。

Salesforceは、11月と12月の全世界オンライン売上は昨年比で4%増え、1兆1900億ドル(約173兆7240億円)になると見込んでいる。しかし、米国の伸びは1%にとどまり、2730億ドル(約39兆8540億円)になると見ている。

レポートによれば、売上の鈍化を受け、小売店はコスト削減と売上促進を目指し、AIに頼る傾向をますます強めている。AI技術は、11月と12月における全世界のオンライン売上のうち1940億ドル(約28兆3210億円)に影響をもつ見込みだ。

今回の予測レポートは、同社がSalesforce購買指標のために収集したデータをもとに作成された。この指標は、同社プラットフォームを使用した小売サイトの利用者15億人超のデータと、消費者アンケートをはじめとしたさまざまな調査を分析したものだ。

今回の予測レポートで挙げられた重要ポイントは以下のとおり。

・オンラインでの売上が鈍化し、消費者信頼感指数(Consumer Confidence Index)も揺らいでいることから、小売店は売上獲得に向けて一層の努力が必要となる

・2023年の年末商戦では、通常より早く値下げが始まるとみられる。米アマゾンが10月に大型セール「プライムデー」を実施することから、小売店は10月の早い段階でセールに踏み切るだろう。割引率がピークの29%に達するのは、感謝祭明けの月曜に始まるサイバーウィーク中になる見込みだ

・返品ポリシーは、売上を左右するだろう。返品期限が30日以内の小売店は、10月と11月のオンライン売上が7%減となる見込み。返品対応のまずさや、消費者受けの悪い返品ポリシーにより、オンライン売上の21%が失われるおそれがある

・オンラインで注文した送品を実店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pick-up in Store)対応は、2023年年末商戦中の売上増加分のうち280億ドル(約4兆880億円)に影響する

・ソーシャル広告によるトラフィックは、従来型広告の10倍になる

・2023年ホリデーシーズン中のギフトは、リセール商品が17%を占める。消費者は節約と無駄削減のために、リセール商品を受け入れるようになっているからだ

・過去12カ月をみると、オンライン注文商品の13%がAIの影響を受けていた。2023年のホリデーシーズンで「プレゼントのアイデアを得るために生成AIを活用する」と回答した人は、買い物客の10%だった
次ページ > オンライン売上の増加が横ばいになってもすべて実店舗に逆戻りするわけではない

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事