年末商戦予測、AI技術がeコマースで28兆円分の売上を生み出す

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Salesforceは8月23日、年末商戦トレンド予測レポートを発表した。オンライン売上が鈍化していることから、ネット販売を行う小売店は、2023年11月と12月の年末商戦に向けて、割引価格を提示したり、顧客が喜ぶ返品ポリシーを採用したり、人工知能(AI)を使った予測ツールや生成AIを活用したりする必要があるようだ。

Salesforceは、11月と12月の全世界オンライン売上は昨年比で4%増え、1兆1900億ドル(約173兆7240億円)になると見込んでいる。しかし、米国の伸びは1%にとどまり、2730億ドル(約39兆8540億円)になると見ている。

レポートによれば、売上の鈍化を受け、小売店はコスト削減と売上促進を目指し、AIに頼る傾向をますます強めている。AI技術は、11月と12月における全世界のオンライン売上のうち1940億ドル(約28兆3210億円)に影響をもつ見込みだ。

今回の予測レポートは、同社がSalesforce購買指標のために収集したデータをもとに作成された。この指標は、同社プラットフォームを使用した小売サイトの利用者15億人超のデータと、消費者アンケートをはじめとしたさまざまな調査を分析したものだ。

今回の予測レポートで挙げられた重要ポイントは以下のとおり。

・オンラインでの売上が鈍化し、消費者信頼感指数(Consumer Confidence Index)も揺らいでいることから、小売店は売上獲得に向けて一層の努力が必要となる

・2023年の年末商戦では、通常より早く値下げが始まるとみられる。米アマゾンが10月に大型セール「プライムデー」を実施することから、小売店は10月の早い段階でセールに踏み切るだろう。割引率がピークの29%に達するのは、感謝祭明けの月曜に始まるサイバーウィーク中になる見込みだ

・返品ポリシーは、売上を左右するだろう。返品期限が30日以内の小売店は、10月と11月のオンライン売上が7%減となる見込み。返品対応のまずさや、消費者受けの悪い返品ポリシーにより、オンライン売上の21%が失われるおそれがある

・オンラインで注文した送品を実店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pick-up in Store)対応は、2023年年末商戦中の売上増加分のうち280億ドル(約4兆880億円)に影響する

・ソーシャル広告によるトラフィックは、従来型広告の10倍になる

・2023年ホリデーシーズン中のギフトは、リセール商品が17%を占める。消費者は節約と無駄削減のために、リセール商品を受け入れるようになっているからだ

・過去12カ月をみると、オンライン注文商品の13%がAIの影響を受けていた。2023年のホリデーシーズンで「プレゼントのアイデアを得るために生成AIを活用する」と回答した人は、買い物客の10%だった
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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