シーは、セールスフォースのCRM(顧客関係管理)ソフトウェアを導入した企業の例としてグッチを挙げる。AIが自動返信を生成することで、グッチのサービス担当者は商品カタログを扱うような業務から解放され、マーケティングキャンペーンの策定といったクリエイティブな仕事に時間を割くことができるようになった。
AIスタートアップへの投資をリード
ゆくゆくは、マルチステップ型のタスクのほとんどをAIが自動化、もしくは簡素化することになるとシーは予測する。「革新的な新技術が誕生するたびに、淘汰される仕事も出てくる」と彼女は述べ、アップスキリングとAIの活用が、生き残るための鍵になるとシーは付け加えた。シーは、セールスフォース・ベンチャーズが生成AIスタートアップに投資する5億ドル規模のファンドとも密接に連携している。彼女は、このファンドをセールスフォースの秘密兵器と呼んでおり、Anthropic(アンソロピック)やCohere(コーヒア)、Hugging Face(ハギングフェイス)、Runway(ランウェイ)などのAIスタートアップを発見し、出資をリードしている。また、社内でAIの研究開発を監督し、音声・動画コンテンツなどを生成するツールの開発を行っている。
シーは、個人の業務でもAIを多用しており、メールの下書きからプレゼン資料の作成のほか、エンジニアやプロダクトデザイナー向けのイベントを主催した際には、アイスブレーキングのアイデア出しにまで活用したという。「AIは思考のきっかけになるものであり、まさに副操縦士だといえる。今は、テクノロジーだけでなく、社会や経済、雇用にとってもAIが極めて重要になっている」とシーは語った。
(forbes.com 原文)