アップルは、先に発表された3機種の新しいMacBook Proで、MacBook Airから顧客を引き離す1つのやり方を明らかにした。人気の高いMacBook Airへの
新しいM3チップ搭載を見送ったのだ。
ハードウェアのチップセットの性能に大きな差があった頃は話はもっと簡単だった。インテル搭載のMacBook AirとMacBook Proノートブックの間には、はっきりとした差があった。MacBook AirよりもMacBook Proの方が高いことを考えれば、その差は歴然だった。
だがAppleシリコンの場合はそうではなかった。ProチップセットとMaxチップセットは、それぞれの無印M1、M2、M3チップセットよりも高いパワーとパフォーマンスを提供し続けているが、無印チップセットのMacBook Airでも大多数のMacユーザーのニーズを満たすことができるほど、性能のベースラインは引き上げられた。
プロフェッショナルなユーザーがノートブックでワークステーションレベルのパフォーマンスを必要としているために、MacBook Proの果たすべき役割は常に存在していた。しかし、高性能のプロシューマー向けノートブックとしては、MacBook Airはそのままでも高い性能を発揮できたため、より高い性能を求めてより多くの支出を行う必要はなかったのだ。
アップルはiPhoneでも同様の問題に直面している。さまざまな「Axx」チップセットの能力が向上し、ハードウェアがシリーズ全体でより普遍的なものになると、iPhone Proに移行する理由が減少した。もちろん、特にカメラについてはより多くのレンズと高度な機能が高価なハンドセットに詰め込まれているという点に違いはあった。だが繰り返しになるが、多くの人々にとっては「十分良い」ものであり、それはiPhoneの無印モデルでも手に入れることができた。
アップルの答えは、仕様で差別化を行うことだった。
すべてのiPhone 13モデルは同じA15 Bionicチップセットで出荷されたが、アップルはiPhone 14とiPhone 14 Proの仕様を差別化した。安価なモデルはA15 Bionicのままであり、高価なProモデルはA16に移行した。今年、iPhone 15と15 PlusはA16を搭載し出荷されたが、iPhone 15 Proと15 Pro Maxの2機種は新しいA17 Proチップセットを搭載した。
もちろんiPhone 15と15 Plusはすでに高性能な携帯電話だが、アップルは消費者をより優れ、より強く、より速いiPhone 15 Proと15 Pro Maxに誘惑できる余地を作っている。
先日の発表イベントでは、M3、M3 Pro、M3 Maxチップセットが発表されたが、アップグレードされたノートブックは
MacBook Proモデルのみだった。MacBook Airの販売は続いているが、無印M2チップセットのモデルのみだ。
アップルは再び「Proにはより大きな力を与え、Airは控え目にする」というMacBook ProとMacBook Airの「違い」をつけることに決めたようだ。
(
forbes.com 原文)