空室率の上昇に伴い、賃料は下落している。サヴィルズによると、北京のグレードAのオフィスの4〜6月期の賃料は0.09平方mあたり45ドル(約6700円)相当で、前年同期を7.4%下回っている。上海、広州、深センの賃料も同様に下落した。
賃料が下落しているため、商業用不動産開発会社の財務の健全性、そしてそうした会社が恒大集団や碧桂園、その他の不動産開発会社に続いて経営危機に向かうかどうかを懸念するのは全く当然だ。そうした事態、あるいはそれに近い事態が発生すれば、中国の金融システムが直面しているすでに深刻な問題や、状況にうまく対応しようとする政府の取り組みが一層困難なものになることは間違いない。今のところ、商業用不動産開発会社の経営難は報じられていないが、現在のように賃料の下落が続けば、何らかの問題が必ず浮上するだろう。
オフィス賃貸に関するこのような悪いニュースが出る前から、中国は手に負えそうもない数々の経済問題に直面していた。中国にとって重要な輸出相手も厳しい状況だ。欧州は景気後退、あるいはそれに近い状態にあり、米経済は減速し、おそらく景気後退に近づいている。
住宅用不動産部門と同部門の大手企業の大規模な崩壊は、中国の金融を弱体化させ続けている。中国はすでに、特に地方自治体や省政府で大幅な債務超過に直面していたことも決して小さな問題ではない。
不動産開発企業が抱える問題に加え、コロナのロックダウンと隔離の影響が住宅需要に冷や水をかけ、その結果、住宅価値の下落が家計の純資産に深刻な打撃を与えた。これが、中国経済の回復を後押ししたかもしれない個人消費を抑制。こうした要因と、政府が突然古いマルクス主義のような手法を用いたことで、中国の民間企業による投資が抑制され、その結果、企業の支出は実際に減少に転じた。
そして今、オフィスの空室率の上昇は、すでに不安定な中国の金融システムをさらに弱体化させ、すでに問題が山積しているところにさらに経済問題を加えることは間違いない。少なくともこれらの問題は、政府が懸命に活性化させようとしている民間投資支出の流れを抑制することになるだろう。商業用不動産の問題は最後の決定的な一撃とはならないかもしれないが、最近の動向は全く良いものではない。
(forbes.com 原文)