アジア

2023.10.30

中国の不動産問題、住宅にとどまらず オフィス空室率が上昇

Shutterstock.com

中国の商業用不動産は、住宅用と同じく危険な方向に進んでいるようだ。

不動産開発大手の中国恒大集団(エバーグランデ)と碧桂園(カントリーガーデン)の経営危機が大きく取り上げられている中、商業スペース、特にオフィスビルの不振が明るみに出ている。空室率は上昇し、賃料は下落。この問題はさらに悪化する可能性が高く、経済を成長路線に戻そうとする中国政府の取り組みを妨げる新たな要素となっている。

中国政府は、住宅開発のようにオフィスビルの建設を大々的に促進していない。商業用不動産の問題は、住宅用に見られるような建設のし過ぎから生じているわけではない。だが、それでも問題はある。過剰な建設と債務の代わりに、商業用不動産は新型コロナウイルス流行によるロックダウン(都市封鎖)と隔離措置の影響に悩まされ続けている。

中国のホワイトカラー労働者は、欧米のオフィスワーカーと同じく在宅勤務を受け入れているようだ。西側諸国の経済が再開した後も、中国では政府のゼロコロナ政策でロックダウンや隔離が続いたため、在宅勤務を受け入れる傾向は西側諸国よりも中国の方が強いかもしれない。こうした要因により、そして中国経済の全体的な減速に対応するための人員削減がオフィス需要を著しく減少させた。

中国の国家統計局はオフィスの空室率についてほとんどデータを公表していないが、同局以外でいくつか情報源がある。ひとつは、英不動産サービスのサヴィルズの定期レポートだ。同社は、中国の主要都市(北京、上海、広州、深セン)におけるグレードAのオフィスの評価を提供している。同社の直近のデータによると、4〜6月期にはオフィスの空室率が軒並み上昇。深センの空室率は4.1ポイント上昇し27%となった。広州では5.9ポイント増の20.8%で、北京と上海はこの中間だった。また、米不動産サービスCBREが発表した18都市をカバーするデータでは、平均空室率は24%となっている。
次ページ > 商業用不動産の開発会社も危機に?

翻訳=溝口慈子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事