変化が激しい時代の風を読み、イノベーションを創発し、経営に強いガバナンス体制を構築できるか。鍵を握るのは、経営陣の多様性やスキルセット、実行力だ。
2023年4月、金融庁は「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」を掲示した。企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた課題として「収益性と成長性を意識した経営」「サステナビリティを意識した経営」「独立社外取締役の機能発揮」の3点を指摘したうえで、取締役会などの実効性の評価や人的資本への投資、サステナビリティに関する取り組み強化などが必要だとしている。
株主から託された資金を有効活用し、付加価値を生み出し、企業や社会の持続的な成長につなげる。それには経営の方向性を正しく示し、時には制御できる「実効性のあるガバナンス」が不可欠だ。その中核となるのが取締役会である。
最近は上場企業を中心に、取締役が有する知見や経験を一覧化したスキルマトリックスを開示する動きが広がりつつある。多様性というと日本では性別に目が向きがちだが、国籍や年齢はもちろん、さまざまな専門性や経験をもつ取締役が集まり、監督責任を果たしながらイノベーションを推進できるか。ガバナンスや取締役会の進化が問われている。
そこで、今回は東証プライム上場企業1836社のガバナンス関連データを収集・分析し「ガバナンスランキング」を作成した。スコアの算出には女性比率や外国人比率、取締役の年齢差などを考慮した「経営陣の多様性」のほか、「経営陣のスキルマトリックス」「ROE(自己資本利益率)」など計18指標を用いた。
その結果、創業者が社長を務める企業が上位にランクインした。