同社のパリ支店を訪ねるジャポニザン(日本物品愛好家)のひとりが、無名の画家ゴッホである。つまり、松尾は市場の拡大を超えて、未来の歴史に価値をもたらす間接的プレイヤーとなったのだ。これこそカルチャープレナーの真髄である。 今後、カネと文化という時間軸が異なるものを引き合わせるには、ウェルビーイングのように幸福感の間接的効果など新しい指標をつくる必要がある。そして日英の歴史から明らかなことは、社会構造の転換で何かが衰退すると、固有の文化の価値を再発見する人々が登場するという事実だ。カルチャープレナーは、文化成熟国で宿命的に登場する現象であり、いま、新たな一歩を歩み始めたといっていい。今年、Forbes JAPANは、京都市を「カルチャープレナーの聖地」にすべく、京都で大会を行う。次の歴史の一歩を日本から世界に届けたい。それが私たちの思いだ。