選考の基準は、個性的で、しかけの動きやプログラムに工夫があり、「大切な人について深く考え、ワクワクさせようと努力した作品」ということだが、プログラミング用のツールはかならずしも使わなくてもいい。謎解きクリエイターの松丸亮吾氏ら3人の審査員が選んだ5つの作品は以下のとおり。
小学校低学年部門最優秀賞
「たこでちゅ物語」
(るるさん)
弟はタコが大好きだがタコの絵本がなかなかない。そこで、弟が幼稚園で作ったタコのおもちゃと遊べる作品を作ろうと思ったと。ソニーのIoTブロック「MESH」を弟が作ったタコに組み込み、物語をプログラムして遊べるようにしてある。
小学校高学年・中学生部門最優秀賞
「楽しく運動!ランニングアドベンチャー」
(ゆずぽんさん)
ゲーム好きのお父さんに運動してもらおうと考えた。キューブ型ロボットトイの「toio」がお父さん運動によって迷路を移動する。鍛えたい場所を使うようプログラムで調整できるようになっている。運動量が規定に達しないとラスボスが倒せない。
グレートアイデア賞
「ママのハッピーモーニング」
(こぱちゃんさん)
ヨーロッパに住んでいたころを思い出すとワクワクするママのために作った目覚まし装置。朝、明るくなると音楽が流れ、ママが起き上がりスイッチを押すと、音楽が止まってファンが回転してハーブオイルの香りを漂わせる。最後に「だいすき」とこぱちゃんの声でママへのメッセージが流れる。
クールギミック賞
「金庫」
(Himari N.さん)
いつも妹と遊んでいる大切なおもちゃを入れておく金庫を作った。暗証番号でロックでき、泥棒をセンサーで感知すると金庫が走って逃げる。蓋はモーターで自動開閉する。
ワンダフルわくわく賞
「当たり付き?!ワクワク射的屋さん!」
(おいもガールさん)
お祭りが大好きな弟といっしょに遊べる射的ゲーム。空気銃で動く的を狙い、命中して倒れるとルーレットが回転する。ボタンを押すとルーレットが止まり、当たり判定が出る。命中しても的が倒れないときは拍手の音がする。ビデオゲームではない楽しいゲームを作ろうと思ったということだ。
小学校低学年でもIoTブロックやビジュアルプログラミング言語を使うことで、自分が欲しいものを自由にデザインでき現実化できる。そうした手段を与えれば、子どもたちは絵を描いたり楽器を演奏するのと同じように、プログラム的思考とテクノロジーで自己表現の世界を広げられることがよくわかる。理系教育の重要性がうたわれた当初はSTEM(科学、技術、工学、数学)教育と言われていたが、近年はそこにA(アート)が加わってSTEAMと言われるようになった。アートとはまさに自由な表現力。このコンテストの作品は、新しいアートの形を感じさせてくれる。