バーレーンは、エコツーリズムへの投資を持続させるため、海洋とウォーターフロント、MICE(企業会議、インセンティブ旅行、国際会議、展示会)とビジネス、スポーツとレクリエーション、文化と遺産、レジャーと娯楽、メディアと映画、医療とウェルビーイングといった7つの柱から成る観光戦略(2022~2026年)に基づき、取り組みを進めています。
エキシビション・ワールド・バーレーンは、クリーンエネルギー生産を推進する同国の方針に従い、サヒール地区で太陽光発電プロジェクトを始動。さまざまな場所に設置した太陽光パネルで再生可能エネルギーを生産し、従来型エネルギーの支出削減に貢献することを目指しています。また、この太陽光パネルは、いくつかの環境要因が考慮され、高品質の断熱基準を満たしたものです。
文化遺産の保護
中東におけるサステナブルな観光は、排出量の削減や、自然界の保護だけを目指すものではありません。この地域に古くからある多様な文化遺産を守ることも、重要な目的です。観光は、効果的に管理されなければ地域の文化を壊してしまう可能性があるため、中東諸国の多くは、伝統と歴史を守るための取り組みを国家レベルで行っています。バーレーンは、歴史ある都市ムハラクの中心部にある古代市場、スークアルカイサーリア(Souq Al Qaysariya)の修復プロジェクトに資金提供しているほか、同国の3つのユネスコ世界遺産に観光客を呼び入れています。
バーレーン要塞(Bahrain Fort)は、ペルシャ湾岸の数少ないユネスコ世界遺産の一つで、5000年以上の歴史を持ちます。同様に長い歴史を持つパーリング・パス(Pearling Path)は、真珠の採取で反映した都市ムハラクで潜水夫たちが使っていた3.5kmの道。最後の一つ、アアリ地区のディルムン古墳群(Dilmun Burial Mounds)は、ディルムン初期の歴史を代表する遺産です。
サウジアラビアも文化遺産の保護に取り組んでおり、632億ドルを投じて、ユネスコ世界遺産トライフ(At-Turaif)を開発するプロジェクトを進めています。トライフは、ディルイーヤにあった第一次サウード王国の歴史的古都で、サウジ王家の最初の拠点でした。この新しい遺産には、水とエネルギー効率の高い新技術が導入される予定です。
今後の展望
中東諸国のサステナブルな観光への道のりは、長く続くものかもしれません。それでも、企業による革新的なプロジェクトと各国政府の戦略的なイニシアチブ、そして、高まるコミットメントが融合することで、この地域は新たなアイデアの拠点として進化していくでしょう。(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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