さらに、空港カーボン(Airport Carbon)認証プログラムのレベル4を取得した、中東で2番目の空港にもなっています。レベル4の取得には、空港の炭素管理が世界の気候変動対策目標に沿っている必要があります。バーレーン国際空港のサステナビリティに向けた今後のロードマップには、太陽光パネルの設置やターミナルビルのエネルギー効率の向上などが盛り込まれています。
部門全体でよりサステナブルに
観光部門が世界の排出量増加に寄与している要因は輸送だけでなく、商品、宿泊施設、建設、サービスなどの領域も、同部門による排出量の半分を占めています。例えば、ホテルは一般的に、暖房、照明、冷房に大量のエネルギーを消費します。こうした中、エコツーリズムは排出量削減に向けたソリューションになり得るでしょう。自然保護と地元コミュニティのウェルビーイング(幸福)を促進する「責任ある旅行」に焦点を当てているエコツーリズム。適切に普及すれば、自然を保護するとともに、旅行者の炭素排出量を削減し、地元コミュニティの生活水準を向上させることができます。
そのメリットは、環境面だけでなく経済面にも影響を及ぼします。湾岸協力理事会(Gulf Cooperation Councils)に加盟するペルシャ湾岸地域6カ国のエコツーリズム市場は、2021年に5億1900万ドル規模に達し、今後数年で大幅に成長する見込みです。
サウジアラビアの「紅海プロジェクト(The Red Sea project)」は、環境保全と観光を組み合わせることで、乱獲、汚染、マスツーリズムに脅かされている4000kmに及ぶ紅海のサンゴ礁の保全と再生を目指しています。
また、このプロジェクトは、経済の多角化を進める同国に大きな利益をもたらす見通しで、10年後には、その規模が年間53億ドルにもなると見られています。同プロジェクトを通じて、9つの島が特別保護地域に指定され、サウジアラビア沿岸の92の島は手つかずの状態で残される予定です。
他の中東諸国も、エコツーリズムを推進しています。例えば、ヨルダンのダナ自然保護区にあるフェイナン・エコロッジは、贅沢なバケーションの提供に環境保護の観点を組み入れています。ロッジの電力は主に太陽光エネルギーで賄われているほか、スタッフには地元住民の家族を雇用しており、収益の50%以上が地元コミュニティに還元されます。
バーレーンでは、複数の宿泊施設事業者がサステナブルな取り組みを進めています。フォーシーズンズホテル・バーレーンベイでは、庭園の灌水に排水を100%再利用しているほか、環境に優しいクリーニング用品を使用し、エネルギー節減のためリネンとタオルは3日ごとの交換を標準としています。
一方、ヒルトン・バーレーンでは、スタッフの制服にリサイクル素材を使用しているほか、ホテルのレストランで提供するハーブと野菜を、垂直型のスマートガーデンで生産しています。