AI

2023.10.16 12:30

ChatGPTと生成AIについてCEOが知っておくべき5つのこと

4. データ品質が生成AIへの取り組みを左右する

コンサルタントは何年もの間、社内データの整理整頓を促してきたが、生成AIツールを使い始めると、その言葉の意味を実感できるだろう。「ガベージ・イン、ガベージ・アウト」(ゴミを入れればゴミが出てくる)という格言は、まさしく生成AIのためのものだ。

インターネット上の公開データを利用するオープンソースのLLMの場合には、データの品質には細心の注意を払う必要がある。インターネットはデータの金鉱ではあるものの、それはデータの埋立地の真ん中にある金鉱なのだ。データを求めて手を突っ込んでも、金塊を手に入れたのか、それともゴミを手に入れたのか、はっきりしない。

企業はもう何十年も、従業員が意思決定や業務に必要なデータにアクセスできるようにすることに苦心してきた。その際の課題は、データにアクセスできるツールを用意すること、そして従業員にトレーニングを受けさせ、それを使いこなせるようにすることだ。

生成AIツールは、データアクセスやレポーティングソフトウェア・アプリケーションを使用する際に、いくつかの問題を抽象化することに役立つ。これは大きなメリットだ。そしてこうした新しいツールが、人間のパフォーマンスを加速させる理由のひとつでもある。

しかし、残るはデータの品質だ。逆説的に聞こえるかもしれないが、データを一般的に語るのはやめるべきなのだ。その代わり、顧客データや顧客対話データ、トランザクションデータ、財務実績データ、運用実績データなど、特定タイプのデータの品質、可用性、アクセシビリティを評価しよう。これらのデータがそれぞれ、生成AIツールの材料となる。

5. 生成AIは新しい行動を求めている

生成AIツールの使用を禁止することはできない。しかしできること、すべきことは、その使用に関するガイドラインを定めることだ。例えば、従業員に大きく分けて次の3つのことを義務付けよう。(1)結果を生成するために使用しているプロンプトを文書化する、(2)生成AIの出力を検証する(そして、検証したことを証明する)、(3)キーワードの使用、明快な見出し、altタグ付きのグラフィック、短い文章、書式の要件を含む社内文書ガイドラインを遵守する。

これは難しい注文だ。だが、サウスステート銀行のニコルズによれば、「構造化されていない文書が、生成AIの不正確さの大部分を引き起こしている」のだという。

経営層の焦点も、20年代終わりまでに変化していくだろう。企業は過去10年間を、「デジタルトランスフォーメーション」の旅に費やしてきた。そこでは、口座開設やカスタマーサポートのような大量の取引プロセスをデジタル化することに、焦点が当てられてきた。だがそれは、IT、法務、マーケティングなど、組織内の知識労働者の生産性を高めることに変わりつつ(正確には広がりつつ)ある。

短期的には、人間の介入や監視なしに、生成AIツールに会社の運営を任せるのは愚かな振る舞いだ。質の悪いデータが多すぎて、「幻覚」が多発するからだ。だが長期的には、生成AIは「破壊的」で「ゲームチェンジャー」になるだろう。CEOは、こうした混乱や変化が組織にとってプラスになるよう、積極的に大きな一歩を踏み出す必要がある。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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