欧州

2023.10.08

フランスで発生の「トコジラミ騒動」、旅行者が知っておきたいこと

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夏季オリンピックの開催を来年に控えたパリで、住宅やホテル、公共交通機関などでトコジラミ(南京虫)の目撃例が相次ぎ、政府が対応に追われている。トコジラミまん延の原因としては旅行者の増加などが指摘されている。

どこで見つかっている?

トコジラミは今夏、パリ首都圏のホテルや住宅、民泊仲介の「Airbnb(エアビーアンドビー)」などで貸し出されている部屋で見つかっていた。その後、映画館や公共交通機関でも目撃や被害の報告が続出する事態になっている。

住民や旅行者は、遭遇したトコジラミの写真や動画をX(旧ツイッター)などのソーシャルメディアに投稿している。Xのあるユーザーは、高速列車TGVの座席を這いずり回るトコジラミらしき虫の動画をポストしている。

別のユーザーはパリ・ベルシー地区にあるUGCの劇場で映画を鑑賞中、トコジラミに刺されたとして、赤く腫れた写真を投稿した。UGC側はこれを受けて謝罪文を掲載し、犬を使った検査や高温スチームによる処理など緊急の対策を講じたと説明した。

政府は対応めぐり会議

パリは五輪の開幕が約9カ月に迫っており、地元当局はにわかに持ち上がった害虫問題の解決を急ぐ必要が出ている。パリのエマニュエル・グレゴワール副市長は「公共衛生問題」だとして、対策会議の開催をエリザベット・ボルヌ首相に求めた

フランスのクレマン・ボーヌ交通担当相は4日、交通事業者側と緊急会合を行った。6日にはこの問題に関する省庁間の対策会議も開かれた。

まん延の主な原因は

フランス食品環境労働衛生安全庁(Anses)が7月に公表した調査結果によると、2017〜22年にフランスの10世帯に1世帯超でトコジラミが発生していた。Ansesはトコジラミが近年急速にはびこっている原因としてとくに旅行客の増加と殺虫剤に対する耐性の高まりを挙げている。

荷物保管会社ラディカル・ストレージのリポートによると、フランスには2010〜21年に毎年平均7770万人の外国人観光客が訪れた。フランスの外国人訪問者数は世界一だ。最も多くの人を引き寄せている観光地はディズニーランド・パリで、年間1480万人が訪れている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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