海外

2023.10.17 10:00

音楽生成AIの「社会への配慮とユーザーのニーズ」、Boomy創業者に聞く

すべてのプログラムに共通するサービスの基本は、オリジナルの楽曲を「作曲」して、ユーザーが希望すればプラットフォーム上で楽曲を「配信」できることだ。

さらに公開した楽曲から「収益を得る」ことも可能だ。上がった収益はBoomyと分配する仕組みだが、その8割は作曲したユーザーが受け取ることができる。クリエイターの収益が5ドルを超えるとPayPalによりこれを引き出せる。

Boomyで作曲したコンテンツを、ユーザー自身がSpotifyなど外部のストリーミングプラットフォームに直接公開することもできる。ユーザーが外部に公開した楽曲の再生履歴などをトラッキングして、ユーザーが創作の対価として受けるべきロイヤリティを正確に集めるための仕組みもBoomyは整えている。

インターフェースは英語だが日本でも利用できる

ユーザーインターフェースが英語のみであることから、いまのところBoomyのユーザーは米国やカナダ、英国など英語圏が中心だ。日本に在住していてもアカウントを登録して、Boomyのサービスを楽しめる。

アクティブユーザー数などデータは非公開だが、2023年10月上旬現在でBoomyに登録するユーザーがつくった通算の楽曲数は約1756万曲にまで到達した。

直近でBoomyのユーザー像に見られる変化をミッチェル氏に聞いた。

「毎年2倍の勢いでユーザー数が増えています。多い時には月間1000タイトル以上の曲がリリースされます。つくった楽曲を個人で楽しむ方や、映像作品、Discordでのコンテンツ配信のBGMとして利用されている方が多いようです。少し変わった楽しみ方としては、AI理論や音楽クリエーションの講義にBoomyが教材として使われているケースがあるようです」

筆者もフリーアカウントをつくってAIによる作曲を試した。はじめにリラグゼーション、アンビエントなど曲調を選択してから、最短わずか2ステップでオリジナルの曲が生成される。プレビューを聴きながら、できた楽曲の下地にボーカルや楽器を足したり、音の密度感やテンポなどカスタマイズを加えていくと、期待していた以上に本格的で雰囲気の良い曲に仕上がった。筆者は静かめな曲をつくって、仕事中に集中力を高めたいときに聴いている。

Creator以上の有料プログラムを選択すると、オリジナルの曲をMP3ファイルとしてダウンロードもできる。友だちなどにシェアしたり、スマホやポータブルオーディオプレイヤーに移して飛行機の中などでオフライン再生も楽しめる。
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