PLD社の共同創業者のラウル・トレス(Raúl Torres)は、X(旧ツイッター)の投稿で、安全上の理由から軌道を修正したことを明らかにした。スペインの宇宙開発については、あまり多くが報じられていないが、同社の取り組みは、欧州の民間企業が開発した初の商用目的の再使用可能ロケットとして注目を集めている。
PLD社のプロジェクトは、欧州の宇宙開発が挫折に直面する中で、特に重要だ。欧州の宇宙開発はここ数年、スペースXやブルーオリジン、中国などに遅れをとってきた。欧州宇宙機関(ESA)の支援を受けたアリアンスペースの最新型ロケット「アリアン6」の打ち上げは遅延しており、今年1月にはヴァージン・オービットの英国での打上げが失敗したことで、欧州の宇宙開発は困難に直面している。
そんな中、スペインの地中海沿いの街のエルチェに本社を置くPLD社は、次の野心的な試みであるミウラ5号ロケットで欧州の宇宙開発にブレークスルーをもたらそうとしている。
情報筋によると同社のチームの90%以上がミウラ5号の開発に専念しており、ミウラ1号の打ち上げで収集したデータによって、新たなロケットの技術を検証中という。
2025年に初の打ち上げを予定しているミウラ5号は、ドイツのイザール・エアロスペース社やロケットファクトリー・アウクスブルク(RFA)社、英国のオルベックス社やスカイローラ社などとの競争に直面することになる。
それでも、今回の打ち上げの成功は、スペインを宇宙開発の最前線に送り込み、独自の宇宙探査能力を持つ10番目の国に押し上げた。
スペインのサンチェス首相代行は 7日のXの投稿で「100%スペインの技術による初のロケット、ミウラ1号の打ち上げが成功した。この国のテクノロジーを宇宙開発の最前線に位置づける画期的な出来事だ」と宣言した。
(forbes.com 原文)