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2023.10.04

「フォートナイト」Epic Gamesの大量解雇、責任はCEOのメタバース固執

Epic Gamesのティム・スウィーニーCEO(Mike Coppola/Getty Images for Samsung)

米ゲーム大手Epic Games(エピックゲームズ)は9月28日、従業員の16%に当たる約830人を解雇すると発表し、ゲーム業界を震撼させた。人員削減やスタジオ閉鎖、新作ゲームの開発中止はこの業界ではよくあることだが、今回の人員削減は通常よりも規模が大きいだけでなく、その背景を考えると、通常よりも深刻なものだ。

人員削減の背景には、Epicがここ数年にわたり下してきた決断がある。その原動力となってきたのが、ティム・スウィーニー最高経営責任者(CEO)のメタバースへの固執だ。スウィーニーは、メタバース追求に反対する者をことごとく罰しようとしてきた。ここ数年、Epicに損失をもたらしてきた判断ミスのほとんどは、スウィーニーとそのメタバース関連の野心が原因となっている。

同社の人気ゲーム『フォートナイト』はもともと、メタバースを構築する入り口としては仮想現実(VR)やブロックチェーンよりも適しているとみられていた。だが、Epicはそのポテンシャルをまったく生かせていない。バトルロイヤルのゲーム部分は維持しているが、新たに導入した「フォートナイトクリエイティブ」モードでは、人々が存在し交流する場所としてのメタバースというSF的ビジョンを実現する大規模な空間を構築する代わりに、『マインクラフト』や『ロブロックス』を真似て、ユーザーによる制作の場を閉ざされた小さな島に限定することを選んだ。

「フォートナイトクリエイティブ」からはおもしろいプロジェクトの数々が生まれたが、メタバースの構築にはつながっていない。新規ユーザーの獲得には成功したが、そうしたユーザーはEpicから収益分配を受ける仕組みになっており、同社の利益は少ない。スウィーニー自身も、『フォートナイト』のメタバース化への「移行」が人員削減なしに実行できると考えていたものの、その考えが甘かったことを認めている。

しかし、同社の問題はそれ以外にもある。スウィーニーは、Valve(バルブ)とアップルというゲーム業界の大手2社に宣戦布告し、その戦いに途方もない額を費やしてきた。
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翻訳・編集=遠藤宗生

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