サービス

2023.10.04 10:00

「フォートナイト」Epic Gamesの大量解雇、責任はCEOのメタバース固執

PCゲーム配信プラットフォーム大手のSteam(スチーム)を運営するValveに対しては「Epic Games Store」という競合サービスを立ち上げて対抗した。スウィーニーは、SteamがPCゲーム市場を独占しており、Valveが開発者に対する手数料として徴収している売り上げの30%は高すぎると主張。自社のサービスでは、この比率を12%に設定し、開発者とプレイヤーの両方を呼び込もうとした。

だが、この試みはうまくいっていない。ゲーマーにとってEpic Games Storeは今のところ、『フォートナイト』を起動したり、定期的に配信される無料ゲームを手に入れたりする時以外には利用価値がないものだ。Epicはこうした無料ゲームや時限独占タイトルの確保に巨額を費やしているが、一方でEpic Games Storeにはショッピングカートやユーザーレビューといった基本的な機能さえもない。Steamに機能面で追いついたり、そのユーザーを奪ったりするには至っておらず、今も金食い虫のままだ。

もう1つはアップルに対する戦いだ。ティム・スウィーニーのアップル嫌悪は相当なもので、私はスウィーニーがアップルを嫌うのと同じくらい何かを好きになれたらいいのにと思う。スウィーニーは『フォートナイト』のゲーム内課金で、アップルが「アップストア」で定めているルールをわざと破り、同ストアの決済システムを回避する支払い方法をゲーマーに提供した。(アップストアもまた、売り上げの30%を手数料として徴収している)

これにより、『フォートナイト』は即座にアップストアから追放された。Epicはすぐに訴訟へと動くと同時に、アップルに対するネガティブキャンペーンを展開。アップルの有名な1984年のCMを真似た痛々しいパロディ動画や、頭部がリンゴの邪悪なビジネスマンを模した『フォートナイト』用スキンを投入した。

訴訟は長期かつ高コストなものとなったが、Epicの成果はほぼゼロだ。唯一、アップストアを経由しない支払い方法をユーザーに案内することが認められたが、それ以外の点については敗訴した。ただ、アップルとEpicはいずれも、最高裁判所に上告している。

この法廷闘争は、今回の人員削減に関するFAQでも取り上げられており、そこではまたもやメタバースが言及されている。

「私たちは法的経費を削減するための措置を講じてきたが、アップルやグーグルによる配信独占や課税との戦いは続けており、メタバースが繁栄し、Epicや他のすべての開発者に機会をもたらすことを目指している」
次ページ > スウィーニーがしているのは本当に「聖戦」なのか

翻訳・編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事