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2023.10.04 10:00

「フォートナイト」Epic Gamesの大量解雇、責任はCEOのメタバース固執

安井克至
今の状況は、2通りに分析できる。1つは、スウィーニーが進めているのは真にイデオロギー的な聖戦であるが、単にそれに失敗しているだけだという考え方だ(実際、30%の手数料というのは高い)。Epic Games Store立ち上げや、アップルとグーグルとの法廷闘争に巨額を投じていなければ、830人の雇用は、すべてとは言わないまでも、大部分を維持できたかもしれない。

もう1つは、スウィーニーには隠れた思惑があり、彼が掲げる「イデオロギー」は、実際には主にEpicの利益となるものだという考え方だ。現時点でメタバースを真剣に追求している大手ゲーム会社はEpicだけであることを考えると「高額な手数料はメタバースを損なう」という主張は、自社の主要事業目標の達成のために大企業の取り分を減らせと言っていることに他ならない。

いずれにせよ、経営陣の判断ミスが原因であることには変わらないが、それでもスウィーニーはその代償を支払っていない。大富豪の彼は、過去に任天堂の故岩田聡社長が行ったような自身の報酬カットは発表していない。その代わり、経営陣が違う道を選んでいれば解雇する必要のなかった830人の従業員が犠牲になっている。

Epicが今後どうなるかは不明だ。『フォートナイト』はまだ十分に人気がある。同社のゲームエンジン「Unreal Engine 5」は業界全体にとって重要な役割を担っており、その主要ライバルであるUnity(ユニティ)は迷走している。

だが、Steamやアップルを相手にしたこの戦争はいつまで続くのだろうか? そしてスウィーニーの次のターゲットとなるのは誰か? 今もEpicに残る従業員で、それを楽しみにしている人はいないだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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