スポーツ

2023.10.06 08:30

NHLの八村塁となるか?「ミス2回で翌日クビ」の戦場で平野裕志朗が誓うこと

もう一度、五輪に日の丸を掲げるために


過去、日本のラグビーは弱かった。しかし2019年大会で史上初のベスト8入りを果たし、格段の進化を遂げて、世界の壁を突破した。サッカー日本代表だってそうだ、今やワールドカップ、いや決勝トーナメントの常連国になっている。

ラグビーやサッカーのように、アイスホッケーも追いつけるのではないか?平野はどう考えているのだろうか。

「組織・選手個々、この2つのレベルアップで日本アイスホッケーは、壁を突破できると思います。組織の部分で言えば、やっぱり強い国の制度やトレーニングを徹底的に模倣すること。海外に出ていく選手たちも増えていますが、やっぱりスタッフも行かないと駄目だと思っていて。もちろん、前述にある選手ファーストの運営は欠かせません。

そして選手に求めたいのは、コンフォートゾーンから抜け出すことです。

週末、クラブハウスに呼ばれて『君はクビだ』と言われるような世界。それぐらい、やっぱり追い込まれた状態で毎日を過ごすっていう環境を、自分たちから選んで行かないと日本国内のレベルは上がらないと思いますし、うん。もっともっと海外にチャレンジする選手が増えていくべきだと。

技術をつけるために、環境を変えること。メンタルを強くするために、マインドが変わる場所にいくこと。要は挑戦をし続けるべきだということです。居心地のいい場所、コンフォートゾーンに居続けてはダメだと。

自分もまだ、一流ではありません。人間は本能的に心地よい場所に向かってしまうと思うんです。自分だって、そういうところはあります。でも、プロという短い競技生活において、今、頑張るしかないですよね?二流で終わって人生を後悔するなら、僕はこれからも厳しい道を選び続けます」



編集後記

実は平野、中学入学前までは野球もやっており、地元でも有望な選手だったという。現在の体躯も185cm、98kgと立派。プロ野球選手として活躍していた未来もあったのでは? と聞くと、こんな答えが返ってきた。

「中学に入る際、両立はダメだというルールがあったんですよ。結構悩みましたよ、野球も好きだったから。でも、ホッケーの世界をもっと盛り上げたい、その想いは中学生の頃からずっと変わらなくて。仮に野球をやっていたら、この負けず嫌いな性格ですから、MLBで大谷翔平選手と一緒に活躍するくらい、やりこんでいたと思いますよ、野球を(笑)」

彼はインタビュー中、主語を「I(アイ)」ではなく、「We(僕たち)」で話し続けていた。選手として、もっともっとワガママに自分のキャリアだけを追い求めればいい、ただ、この話しぶりの背景には、13歳の時に決断した、愛すべきアイスホッケーとの心中があった。



後藤 亮輔(ごとう・りょうすけ)ALL STAR SAAS FUNDコンテンツマネージャー。雑誌・CMのコピーライターを経て、エン・ジャパンで採用関連業務、オウンドメディアの運営を兼任。フォトクリエイトでのメディア事業立ち上げを経て、サムライトのCCO(最高コンテンツ責任者)、採用責任者として2016年朝日新聞へのバイアウトに貢献。2019年3月から2022年6月までForbes JAPAN CAREERの編集長/事業責任者を務める。

文=後藤 亮輔 写真=小田 駿一

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