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2023.09.29 12:45

人口800人の旧村で、山古志DAO始動 錦鯉アートのNFTが果たす役割

今後誕生する「ローカルDAO」のパスポートの役割も果たす山古志発の「Nishikigoi NFT」。※画像は、編集部で2種のジェネラティブアートを組み合わせたものです


つまり、言葉では表現しきれない力が、関わったことのない地域への帰属意識を生む力がジェネラティブアートにはあると思います。みなさん自分の手に入れたNishikigoiアートをSNSに載せているんです。関わったことのない地域へのアイデンティティを表現するためにジェネラティブアートというのはすごく効いていると思います。
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新しく複雑な社会を作っていくとき、言葉ではうまく表現しきれないことが多く、時には違う伝わり方をしてしまうこともあります。言葉にすると劣化してしまう想いを、アートを媒介することによって伝える。「アートは言葉以上に意識を作る」ということに重点を置いたことも成功要因だと分析しています。

──Nishikigoi NFTの販売やコミュニティ内では、多言語対応をしていますが、グローバル展開のポイントは?
 
NFTを通じて「クリプト勢」と言われるような、ブロックチェーンの技術や新しい社会の形の可能性に興味を持つ人々を日本のローカルというフィールドにぐっと引き込んだことがポイントです。そういった違う領域の人々と関わっていく姿勢が大切で、多言語対応や日本にとどまらない発想でマーケティングを行っていくことが重要です。

そのため、ウェブサイトもX(旧ツイッター)も基本は英語を使っています。ローカルなプロジェクトですが、あえて日本語ではなく英語に重きを置いてコミュニケーションを取っています。最近、特に東アジアとヨーロッパなど海外からの問い合わせが増えています。人口減少という共有できる課題意識があるからです。日本のローカルな課題は世界にとっても重要なイシューなんです。
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デジタル村民の持つネットワークは我々には想像できないほど無数にあります。だからこそ国内外問わず、山古志が存続するためにも接点をボーダーレスに持ち続けたいです。

──Local DAOの可能性と、今後の展開をどう描いていますか。

Nishikigoi NFTは、単なるデジタル住民票からレイヤーを1つ上げて、今後各地で展開予定のLocal DAOの共通パスポートにしました。

山古志がうまくいったのはファーストペンギンだからではないかとよく言われます。山古志は「特殊解」で、他の地域には応用できないのではないか、と。だからこそ、山古志の事例をどうしたら「汎用解」にできるかというチャレンジを続けています。

日本国内でLocal DAOは、限界集落・過疎地の住民がそこに暮らし続けるため、また彼らが残してきた文化を守っていくためのソリューションになっていくと思います。海外では少数民族の村でも、長期化している難民キャンプでも活用の可能性がある。

つまり既存の社会構造の狭間にあるもの、大きなものによって勝手に線が引かれ淘汰されてしまう「小さくて多様なもの」を、こういったガバナンスの仕組みを構築することによって維持していく可能性があると思っています。山古志の事例を「汎用解」として、日本のローカルから世界へ広がっていくという将来を描いています。

──地域を変革する「ローカルイノベーター」に求められるスキルとは。

ローカルにある資源を様々な分野に繋ぐことができるか、社会に実装していくことが今後特に重要になってくると思います。

地域は、あらゆる領域を繋ぎ合わせて実装するためのフィールド。新しい社会を構想する力、各分野を繋げて編集する力、そしてそれを地域のトラディショナルなセクターへも接続するコミュニケーション能力など、幅広いスキルが必要だと思います。

▶︎林篤志は、スモール・ジャイアンツ イノベーターとして活動中

編集=督あかり

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