スクエニの絶不調、問題は「ソニー依存」 PS独占は終了の公算大

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老舗ゲーム企業のスクウェア・エニックスは今、苦しい立場に立たされている。新作ソフトの不発が続き、時価総額は6月の『FINAL FANTASY XVI(ファイナルファンタジー16)』発売以降で約2500億円も下落した。

ただし、その責任は『FF16』にあるわけではない。より大きな原因は『FORSPOKEN』や『BABYLON'S FALL』といった失敗作だ。特に『BABYLON'S FALL』は、批評サイト「メタクリティック」で41点という「死刑宣告」同然の低評価を受けた(そして発売から1年後、サービス終了にともないその命を絶たれた)。

米ネットメディアのアクシオスは、こうした最近の問題をうまくまとめた記事で、スクウェア・エニックスがソニーとの長年の関係に頼りすぎているという重要な点を指摘している。『FF16』はPlayStation 5専用ソフトとして、『FORSPOKEN』はPSとPCのみに向けて発売された。サードパーティーの企業が、ゲーム機メーカー1社とこれほどの規模の契約を結び続けるのはめずらしい。

しかし、スクウェア・エニックスはその教訓を学んだようだ。最近では、Xbox部門責任者のフィル・スペンサーと手を取り合い、自社の大作ゲームのXbox向け発売や、マイクロソフトとの提携を約束している。

そのため、スクウェア・エニックスが次の『FF17』で、ソニーの独占を避け、Xbox版も(願わくはPC版も)同時に発売することは、ほぼ間違いないだろう。Xbox版で期待できる売り上げがPS版より少ないのは明らかだが、ソニーが独占維持料としてスクウェア・エニックスに巨額を支払わない限り、PS独占タイトルとする価値はない。

品質管理の問題もある。『FORSPOKEN』はスクエア・エニックスとって大型の新規IPになるはずだったが、蓋を開けてみれば(『Redfall』よりはマシではあるものの)失敗に終わった。そして『BABYLON'S FALL』はというと……決して日の目を見るべきではなかったとだけ言っておこう。

この傾向は、以前からあった。『Marvel's Avengers』をルーター系(敵を倒して得られるランダムな装備品でキャラクターを強化していくもの)のゲームにするという悪いアイデアがその一例だ。また、『トゥームレイダー』や『Marvel’s Guardians of the Galaxy』といった手堅いゲームはメガヒットを飛ばす必要があると考え、そうならなかったために、開発したスタジオをエンブレーサー・グループに格安で売り飛ばした件もある。
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翻訳・編集=遠藤宗生

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