ヒューストン郊外モントベルビューにあるバーバーズ・ヒル高校の3年生で、黒人の間で一般的な髪形の「ドレッドヘア(ドレッドロックス)」をしているダリル・ジョージ(17)は、新学期開始直後の8月31日、髪の長さが服装規定に違反しているとして、校内謹慎処分を下された。同校では、男子生徒の髪が眉毛や耳たぶ、シャツの襟にかかってはいけないと規定している。
だが母親は地元テレビ局に対し、息子は髪を頭の上部に留めているため、服装規定には違反していないと訴えている。
米メディアが23日に報じたところによると、家族はテキサス州南部地区の連邦裁判所に起こした訴訟で、この謹慎処分が、特定の人種に関連した髪質や髪形に基づく学校での差別を禁止した州法「CROWN法」に違反していると主張。同法の執行を怠ったとして、アボット知事とケン・パクストン州検事総長(共和党)を提訴した。
CROWN法は学校や職場、住宅の入居要件において「編んだ髪、ロックス、ツイスト」といった髪形による人種差別を禁止するもので、今年5月末にアボット知事の署名により成立。ジョージが謹慎処分を受けた翌日の9月1日に施行された。米経済政策研究所(EPI)によると、同様の法律はテキサスを含め24州で成立している。
この高校が属する学区で、髪形を理由に処分を受けた男子生徒はジョージが2人目で、2020年にはディアンドレ・アーノルドという生徒が同じく校内謹慎処分を受け、後に転校している。ジョージの謹慎処分は全米の注目を集め「自然な髪の生徒を差別し続けるための抜け穴的な方法だ」(ボリス・マイルズ州上院議員)などといった反発を巻き起こした。州児童保護局も、この件について調査を開始している。
全米黒人地位向上協会(NAACP)は2020年の決議で「自然な髪やヘアスタイルは、黒人の男女と密接な関係があり、黒人独特の重い負担である」との理由から、黒人のヘアスタイルを制限または禁止する方針は人種差別に当たると規定している。
(forbes.com 原文)