北米

2023.09.06 15:00

スーパー駐車場で警察官が妊婦を射殺、抗議広がる 米オハイオ

安井克至

shutterstock.com

米中西部オハイオ州コロンバス郊外で8月下旬、スーパーマーケットに出動した警察官が、駐車場で車内にいた妊娠中の黒人女性を射殺する事件があった。女性の遺族は、警察による「重大な職権乱用」を非難。現地では先週末に抗議デモが行われ、女性に発砲した警察官の氏名公表と逮捕を求める声が上がった。

事件は8月24日、コロンバス郊外ブレンドンのスーパー「クローガー」で発生。最近公開された警察官のボディカメラ映像によると、駐車場に止められていたタカヤ・ヤング(21)の車に警察官2人が近づき、ヤングが店から酒を万引きしたとして、車から出るよう繰り返し命じた。だがヤングは万引き行為を否定し、降車を拒否。「私を撃つの?」と聞いた後、ハンドルを右に切って車を発進させたため、車の前にいた警官がフロントガラス越しに発砲した。



地元警察の発表によると、警官2人はその後、運転席側の窓ガラスを割ってヤングに応急手当を施した。応急処置の場面を写した映像は公開されていない。警察によれば、ヤングは搬送先の病院で死亡。お腹の中にいた第3子の女児も助からなかった。

ボディカメラ映像は、事件から8日後の9月1日に公開された。現地では、4日のレイバーデーの祝日にかけた連休中、事件をめぐる抗議デモが行われ、参加者が監視カメラの映像公開や、発砲した警官の逮捕を要求した。

ブレンドン警察には警官が14人しかおらず、発砲した警官は休職処分とされたが、もう1人の警官は職務に復帰している。

ブレンドン警察はフェイスブックへの投稿で、ヤングが車を前進させた際、警官のうち1人は運転席側の窓の内側に腕を入れ、もう1人は車の前に立っていたことから、2人はいずれもオハイオ州法に基づき暴行の被害者とみなされると説明。発砲しなかった警官を休職にする理由はないとし、ヤングの死を「悲劇」と表現した。
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