仏研究者「クリティカル・シンキングが日本のアートを進化させる」

さて、ベノアがフランス、米国、カナダでアート研究、調査、ビジネスをするスキルを有する中で、なぜ東京を選んで住んでいるのか? それは日本アニメに触れた幼少期の衝撃から始まり、その後のインターネット文化の中でも日本のカルチャーが様々なシーンで重要な役割をしているので、その文化の源泉である東京を知りたいと思い5年前から住んでいるそうだ。

 
ベノア:「私の日本への魅力は、若い頃にアニメに深く没頭し、多くのJ-RPG(Final Fantasyをはじめとする日本産RPGゲーム)を極めたことから始まりました。これらの出会いが私に深い印象を与えたのは、当時のヨーロッパやアメリカで制作されたアニメやゲームよりも、日本が持つ緻密な物語、概念、そして美学が優れていると感じたからです。その興奮として思い出すのは、CANAL+で初めてAKIRAを観たとき(おそらく1992年か1993年頃)や、数年後のエヴァンゲリオンの衝撃です。Chrono TriggerやFinal Fantasy 6のリリースにも同じ興奮を感じました。
 
私は、日本のポップカルチャーとインターネットの融合が、様々なサブカルチャーやカウンターカルチャーを生み出すだけでなく、既存のカルチャーに新しい命を吹き込んでいると考えています。このミックスは、オタク、VTuber、AESTHETICSなどのマイクロジャンル、ファンアート/フィクションのコミュニティ、nightcoreやanimecoreスタイルのアニメ音楽のリミックス、ミームトレンド、美少女ゲームなどのゲームニッチに及びます。
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私は日本のポップカルチャーとインターネットの両方が好きで、デジタルアートを学んできた経歴もあるので、まるで運命が私をこの融合の中心、東京に導いたかのように感じています。しかし、世界中、特にアートの分野では、これらのクリエイティブなコンテンツとその結果を正当なアート形態として完全に認められているわけではありません。しかし、私にとっては疑問の余地はありません。それらは間違いなくアートです。

これらの文化的表現が、特に日本独特のオタクとウェブサブカルチャーの融合に根ざしてアートとして響くのは、強烈な物語を伝え、インターネットという媒体の本質に挑戦し、デジタル時代固有の社会的問題に立ち向かうパワーにあります。これらの文化から生まれる創作物は、私たちの現代社会に深く響く会話を引き起こし、思考を喚起し、関与する驚異的なパワーを持っています。

日本の伝統への尊敬と革新への絶えざる追求の融合は、アートの境界を押し広げるだけでなく、歴史と未来の間の深いつながりを取り込む文化的な成果も生み出しています。それは単なる美学を超え、独自の日本的視点で私たちのデジタルな存在の核心に深く踏み込む可能性も持っています。そしてそれは真のアート表現と言えるでしょう。私はこれら日本独特のクリエイティビティとアートがより様々な領域において正当な評価を得ることを全力で支持しています。」
 
イギリスのテートモダン、アメリカのMoMAに並ぶ香港の美術館「M+(エムプラス)」に2023年5月に訪問した際に、私が感動したのは。Docomo i-modeや「シェンムー」「グランツーリズモ」などのゲーム、押井守監督の「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」へのオマージュ作品が展示されていたことである。考えてみればi-modeがあったからこそemoji含むデジタル表現の普及や、ゲームがあったこそのメタバースの登場などへと繋がる。その意味性を作品として残している。
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