日本の経済と社会の「ルネサンス」に向けて
経営学の世界でも、カルフォルニア大学サンディエゴ校のウリケ・シェーデ教授が、新しい日本型経営モデルを再評価しています。鍵は、より人間中心の持続可能なモデルにありそうです。本連載でも、アート産業の発展が、日本型の社会や経営の「ルネサンス」につながることを目指します。忘れてはならないのが、アーティストや関連する人々の生の感覚です。彼らは、社会の不条理や欠陥を鋭く見抜く視点と、そこから得たものをアートとしてカタチにする力をもっています。それら抜きでは、本質的な議論はできません。本連載では、ボストン コンサルティング グループで経営コンサルタントの仕事をしながらも、アーティストや制作を経験している私、岩渕と平岡が、現場の肌感覚をもって、インサイトを紡いでいくことを大事にしたいと考えています。
日本におけるアートと経済に関して、鳥のようなマクロな視点と、アーティストのミクロかつフラットな視点(虫の目)の両方の目をもって、挑戦的また前向きに、読者の皆さんと可能性を探っていきます。まず鳥の視点では、ビジネスとアートといった曖昧な定義ではなく、例えば経済、経営、産業、意思決定、イノベーションなどと、より「解像度」を上げて、日々の活動や実践につながる示唆を心がけていきます。
そして虫の視点では、課題に直面しているアーティストの実際の活動、画廊や業界の人々のバイブラントな動きや感覚を、インタビューなどを通じて取り込んでいくことで、より現実感のある方向性を示していきます。
テーマとしては、経済産業省の報告書でも注力した「1.市場の全体像とアーティストの活動」「2.企業経営」「3.地域」「4.テクノロジー」、4つの観点から日本のアートに関する議論を展開。よりリアルタイム性と感覚性が高い内容を、発信していきます。