研究開発の「優先病原体」に
WHOはニパウイルス感染症を、次のパンデミックを引き起こす可能性があるものの現時点で対策がほとんどない10の疾病リストに入れ、緊急に研究開発すべき「優先病原体」としている。10の疾病は、コロナウイルスによる3つの感染症である新型コロナウイルス感染症と中東呼吸器症候群(MERS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、ジカ熱、エボラ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、リフトバレー熱。WHOはリストは網羅的ではないとし、パンデミックを引き起こす可能性のある未知の病原体として「疾病X」も加えている。
診断や検査の注意点
ニパウイルス感染症は特異な症状があるわけでなく、潜伏期間が長いケースもあるため、診断は一筋縄にはいかないかもしれない。欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、ニパウイルス感染症は「最初は誤診されることが少なくない」と説明している。感染の初期段階では、新型コロナのPCR検査と同様に患者の検体の遺伝子検査で感染を判定でき、それ以降の段階では抗体検査を利用できる。もっとも、こうした検査に必要な技術や安全手順が世界のどこでも提供されているとは限らない。
(forbes.com 原文)