火星には最長で36億年前まで水が存在したことを、地質学的証拠は示唆している。しかし、重力が弱いせいで濃い大気がなく、大半の水が時間とともに蒸発したか、現在は地下で固い氷となっている。
火星は生命の存在に適した条件が最初の10億年間存在したかもしれないとわかっているが、それとは対照的に、地球の生物多様性は時間の経過とともに著しく増大した。
今回の研究をまとめた論文の筆頭執筆者のロバート・ヘイゼンは「生物相が存在しなければ、地球の鉱物の3分の1は形成されなかっただろう」と説明する。アパタイト(燐灰石)やカルサイト(方解石)のような鉱物は、多くの動物の骨や殻に含まれているが、さらに重要なのは、20億年以上前の地球で酸素を豊富に含む大気を生成した微生物の活動が、2000種類の酸化鉱物をもたらしたことだ。この活動がなければ、酸化鉱物は形成されなかったと考えられる。
今日でも、生物が地球の鉱物多様性を増加させている可能性がある。
英領南極地域のエレファント島には、ペンギンの尿と集団繁殖地の下にある粘土鉱物との反応でしか形成されない鉱物種「スペニスキダイト(Spheniscidite)」が見られる。この鉱物名はペンギン目(Sphenisciformes)にちなんでつけられた。2017年に発表された調査では、最近の人間の活動に由来する新鉱物が数百種同定された。
研究結果をまとめた論文「On the Diversity and Formation Modes of Martian Minerals」は、学術誌Journal of Geophysical Research: Planetsに掲載された。追加資料は米国地球物理学連合(AGU)のレイチェル・フリッツから提供されている。
(forbes.com 原文)