クリーンで環境負荷の低いエネルギーの利用に、二酸化炭素排出や、その他の汚染の低減をはじめとする多くの利点があることは明らかだが、農業の場合、さらに追加的なメリットを得ることができる。
とりわけ、農業と太陽光発電を組み合わせる、しばしば「営農型太陽光発電(アグリヴォルタイクス)」と呼ばれる方式は、土地利用の生産性と効率性の最適化に寄与する。
業界団体のSolar Energy U.K.(ソーラーエナジーUK)が2023年夏に発表した研究では、英国の多くの太陽光発電所が、個体数を減らしつつある生物種のすみかとなっていることが判明した。こうした種のほとんどは、主に自然保護目的に管理された土地に生息するものだ。
ランカスター大学およびコンサルタント企業のClarkson & Woods(クラークソン&ウッズ)、Wychwood Biodiversity(ウィッチウッド・バイオダイバーシティ)と共同で行われたこの研究によると、地上に設置された太陽光発電パネルの周囲が昆虫の生息地となることで、花粉を運ぶ「送粉生物」の個体数が増加し、周辺の農地にも恩恵がもたらされるという。
同研究はさらに、太陽光発電所の周囲に生育する植物が、花蜜を豊富に生産することで、昆虫などの生物に「重要な資源」を供給している可能性があるとした。
別の事例として、ヨーロッパの独立電力会社Alight(アライト)は最近、スウェーデンのオーフスにある発電量7MWの太陽光発電所の除草のため、羊の飼育を開始した。
羊たちがソーラーパネルのあいだを自由に行き来し、雑草の繁茂を防ぐ一方で、ソーラーパネルは羊たちに日陰を提供する。羊は、日中の時間の約4分の3を、こうした場所で直射日光を避けて過ごす。
アライトは、羊に守られたオーフスの太陽光発電所が、羊にとっても、地元の羊飼いにとっても安全な環境となるよう、羊飼いを対象にした発電施設内での活動についての講習会を開くなどの対策をとっている。
アライトのウォーレン・キャンベルCOO(最高執行責任者)は取材に対し、すでにいくつかの研究から、営農型太陽光発電が「一般的な牧草地よりも放牧に適した環境」を生み出していることが示されていると述べた。
「わが社の場合、羊を管理する羊飼いを置いているため、一般的な放牧となんら変わりはない」と、キャンベルは説明する。
また、個々のパネルの間隔を調整したり、パネルを高架式にすることで、太陽光発電所の下で耕作を続けることも可能だという。