欧州

2023.09.01 09:00

ウクライナ軍、南部ベルボベ周辺で第1防衛線を突破

ところが、第82空中強襲旅団や第46空中機動旅団は、ノボプロコピウカのロシア軍陣地を直接攻撃するつもりはないようだった。両旅団は東に進路を変え、人口1200人の集落ベルボベに向かった。まずベルボベを解放し、そこからノボプロコピウカを側面から攻める狙いのようだ。その過程で、最も越えやすそうな場所を見定めて、スロビキン・ラインの最も外側の塹壕の突破を図ったということだろう。

ノボプロコピウカのすぐ南には、スロビキン・ラインの第1防衛線が倍の厚みで張り巡らされている。ロシア軍の第58諸兵科連合軍やほかの野戦軍は、ベルボベの2倍の連隊をノボプロコピウカに配置している。そこにロシア軍の作戦予備の中核である第76親衛空挺師団が到着すれば、戦力バランスも変わるかもしれない。

ただ、同師団の到着はベルボベのロシア軍守備隊を救うには遅すぎるかもしれない。また、攻撃側の第82空中強襲旅団と第46空中機動旅団はウクライナ軍の戦闘序列でも強力な部類に入り、反攻に投入されて間もないので消耗も少ない。

スロビキン・ラインを越えるのは容易ではない。ウクライナ全面侵攻の副司令官や総司令官を務めたスロビキンは最近、ロシア航空宇宙軍の総司令官を解任されている。反乱を起こした民間軍事会社ワグネルのトップ、故エフゲニー・プリゴジンとのつながりが理由とみられる。

それでも、スロビキン・ラインは彼の有能さを証明している。ウクライナの軍人オレクサンドル・ソロニコは「塹壕や地下掩蔽(えんあん)部、場所によってはさらに地下トンネルまで組み合わせた、全体的なシステムになっている」と評している

第82空中強襲旅団と第46空中機動旅団にとって次の任務は、一部の部隊がスロビキン・ラインの第1防衛線に開いた突破口を利用して、すべての大隊をその先に押し込んでいくことだ。メリトポリにいたるルートの中間に位置する拠点トクマクまで進軍するには、防衛線をあと2つ突破する必要がある。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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