最近行われたTD Bankの調査でも、回答者の半分以上にあたる51%が、食料雑貨類をはじめとする生活必需品が出費のトップだと答えている。とはいえ、わずか1クリック、あるいは近くの店へ車を走らせるだけで、こうした生活必需品への出費を抑えることも可能だ。
消費者が自由に使える支出を手控えるなかで、食料雑貨品を販売する小売大手は、プライベートブランド(PB)のラインアップ充実にこれまで以上に注力し、客足をつなぎとめ、顧客ロイヤルティを構築しようと努めている。まさに一大PBブームが起きているのだ。
小売チェーンが独自に展開するPBはかなり以前から存在していたが、商品の質の向上と、全体的な物価のインフレ傾向により、2022年にはPBの売上高が前年同期比で11.3%増加した。これは、ナショナルブランド(NB)の伸び率の2倍近い数字だ。
この数字は、業界団体「プライベートブランド製造業者協会(PLMA)」が公表したものだが、同協会によると、販売品数におけるPBのシェアは20.5%に達している。つまり、販売された全商品の5点に1点がPBだった計算になる。売上金額に占める割合も、2022年には過去最高の18.9%を記録。過去5年で見ると、金額換算では40%近く増加している。
ウォルマートのPBである「グレートバリュー(Great Value)」および「イクエイト(Equate)」は、小売各社による現在の取り組みの好例だ。両ブランドは、ユニリーバやP&Gといった大手メーカーの値上げを好機として、消費者から見たお買い得感を高めている。比較的所得の高い消費者の間で広がっている「トレードダウン(従来購入していたものよりも低価格な商品を選択する消費行動)」現象も追い風となっている。
デパートの最上階にレストランが設けられていた時代から、食品は、衣料品や生活用品の購入を促す呼び水の役割を果たしていた。現時点でトップを走るのはウォルマートだが、競争はヒートアップしている。ディスカウントチェーンとして競合するダラー・ゼネラルとダラー・ツリーの2社はどちらも、規模が小さいディスカウント店を、他に食料品店がない地域に展開しているケースが多い。両社は、それぞれが約20億ドル(約2920億円)を投じて、既存店舗を食料雑貨品の店舗に変えている。
ダラー・ゼネラルは、全1万9000店舗のうち、ゆくゆくは1万店で青果を取り扱う計画を発表している。コアサイト・リサーチの調査によると、ダラー・ツリーとダラー・ゼネラルはどちらも、消費者が2022年に食料品を購入した小売業者の上位5位にランクインしている。