一方、Whole Foods(ホールフーズ)とAmazonフレッシュを傘下に持つアマゾンは、値段の高い高級スーパーというイメージ(「ホール・ペイチェック=給料を丸ごと持っていかれる」との異名もあるほどだ)から脱却し、Aplenty(アプレンティ)やHappy Belly(ハッピーベリー)といったブランド名で、生活必需品をはじめとするPB商品を家庭に配達する小売業者へと装いを一新したい考えだ。
アマゾンとしては、長い年月をかけて築き上げてきたラストワンマイル(配送における物流拠点から各家庭までの区間)での優位性を活かすことで、食料雑貨品販売に関しては全米で約4600店を数える実店舗に大きく依存しているウォルマートを出し抜きたい考えだ。
この「食料品戦争」に賭ける各企業の本気度を推し量るには、会員制スーパーチェーンであるコストコと、ウォルマート傘下のサムズ・クラブが、それぞれの店舗のスナックコーナーで販売しているホットドッグとソーダ飲料のセット価格を見ると良いだろう。両社は、このセット価格でバトルを繰り広げているのだ。
コストコのホットドッグセットは、40年近く変わらず1ドル50セント(約220円)で販売されており、サムズ・クラブも同じく1ドル50セントをキープしてきた。この価格で販売されるホットドッグセットは、赤字覚悟の客寄せ商品として、安値販売にかける両チェーンの決意を象徴するちょっとユーモラスな存在になっている。
そして2022年、かき入れ時となる感謝祭の週末の直前に、サムズ・クラブはマーケティングに関する奥の手を放った。ホットドッグセットの価格を1ドル38セント(約200円)まで引き下げたのだ。この作戦は功を奏し、サムズ・クラブは、小売業が盛り上がるホリデーシーズンの直前に、まったく広告費を払うことなく、大きな宣伝効果を手にすることができた。
まもなく訪れる2023年のホリデーシーズンは果たしてどうなるのか、大変興味深い状況だ。
(forbes.com 原文)