テクノロジー

2023.08.29 09:00

ロシアの新型長距離自爆ドローンはショッピングモールで製造される

Aeroscanという企業はこれまでほぼノーマークで、同社の事業に関する情報もほとんどない。同社は「Z-20」と呼ばれる長距離偵察ドローンを製造しているが、生産状況や実戦投入されているのかどうかは不明である。

ニキータ・ザハロフが一家の本業と競合する可能性は極めて低いと思われる。むしろ「プロダクト54」は、シャヘドと競合できる超長距離ドローンの可能性が高い。シャヘドの製造を試みているロシア企業には問題があるようで、ザハロフ家のノウハウとコネクションがあれば、Aeroscanはシャヘドの不足分を補い、ロシア国防省から豊富な調達資金を獲得できるかもしれない。

ドローンがどこで製造されるかは見当がついている。昨年12月30日、モスクワの東方に位置するイジェフスク市内のショッピングモール「イタルマス」のテナントがすべて賃貸契約を打ち切られた。モール内にはスーパーマーケットや衣料品店、ピザ店、マクドナルドなどが入っていた。地元メディアの調査報道によれば、ショッピングモールはAeroscanによって買収されており、目的はドローン製造とみられている。イジェフスクは兵器産業と無縁ではなく、最大の観光名所はカラシニコフ小火器博物館だ。アレクサンドル・ザハロフの故郷でもある。

アレクサンドル・ザハロフは2020年8月、外国ブランドを扱うショッピングモールを閉鎖してドローン製造工場として再利用すべきだと提案していた。どうやら本気だったらしい。

「米国では、新しいガジェットを手に入れるためにショッピングモールに行く。ロシアでは、新しいガジェットがショッピングモールからやってくる」というロシア的倒置法の新しいジョークが生まれそうだ。

ただし、事態は冗談では済まない。新型ドローンの危険性はどのくらいあるのだろうか。

ロシア製ドローンの専門家であり、米シンクタンクの海軍分析センター(CNA)と新米国安全保障センター(CNAS)で顧問を務めるサミュエル・ベンデットは「もしIzdelie 54が『長距離』ドローンなら、恐らくシャヘドと競合するだろうが、すべてはスペック次第だ」と指摘。「この新型ドローンがランセットとシャヘドの能力の隙間を埋める可能性はある。航続距離は80~200キロかもしれないし、もっと長距離を飛行できるよう設計されているかもしれない」と述べた。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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